ニュース速報
ビジネス

ソニーG、金融除き今期営業益横ばい 米関税影響1000億円と試算

2025年05月14日(水)18時46分

 5月14日、ソニーグループは、2026年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比0.3%増の1兆2800億円となる見通しだと発表した。写真は、同社本社のロゴ。2023年2月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Ritsuko Shimizu

[東京 14日 ロイター] - ソニーグループは14日、2026年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比0.3%増の1兆2800億円となる見通しだと発表した。自社制作ゲームソフトの販売増やモバイル機器向けイメージセンサーの増収などが寄与する。

スピンオフ(分離)を予定している金融事業は非継続事業として除外して算出した。米関税のマイナス影響は営業利益ベースで1000億円とし、関税影響がなかった場合の増益分を打ち消す格好となっている。

連結売上高は同2.9%減の11兆7000億円の見通し。

十時裕樹社長は会見で、米関税など不透明感の強いなか「足元で大きな変化が起きているかというと我々のビジネスでは起きていない」としながらも、米雇用の動向など景況感を注視する考えを示した。

陶琳・最高財務責任者(CFO)は、米関税の影響、グローバルでの景気減速懸念など不透明な事業環境を踏まえ「今期の事業は慎重かつ保守的な想定のもと進める」と述べた。24―27年度の戦略投資は1.8兆円、設備投資は1.7兆円を計画しており、現段階で変更はしていないが「今後事業環境に大きな変化があった場合、キャピタルアロケーションを迅速かつ柔軟に見直していく」と述べた。

今期見通しは、4月に発表された米相互関税の税率が、上乗せ分停止期間の終了後に全面的に適用され、それ以外の関税措置については4月末の状況が継続することを前提とした。米中の関税合意は織り込んでいない。

ソニーは先月、インフレ率の上昇と為替レートの変動を理由に、欧州と英国でプレイステーション(PS)5の価格を引き上げた。また、米国での在庫を積み増し、ハードウェアの生産地も多様化している。関税に対しては「今後の状況変化を見極めながら、適切なタイミングでの追加施策を実行していく」(陶CFO)とした。

PS5の出荷は1500万台(前期は1850万台)を想定しているが、不透明な環境の中、量を追うことなく、適切な生産地や出荷量を考えていく方針。現在、PS5は中国を含む4カ国で生産している。

陶CFOは、半導体について「これまでのところ、米追加関税の影響で顧客の発注見込みなどに変化は見られない」と述べた。

準備を進めてきたソニーフィナンシャルグループ(FG)の東京証券取引所上場を9月29日に予定していることも発表した。ソニーFGは上場に向け、今月8日に東京証券取引所へ予備申請を行った。金融事業のスピンオフの連結業績への影響は精査中で、現時点で確定していない。

金融事業以外のスピンオフの可能性について、十時社長は「他の事業で現時点で計画しているものはない。引き続き、必要があればそういう施策も検討の選択肢としては考えていくが、短期的に何かをすることは考えていない」と述べた。

想定為替レートは1ドル=143円前後(前期は152.5円)、1ユーロ=153円前後(同163.6円)。

同日、発行済み株式の1.66%に当たる1億株・2500億円を上限とする自社株買いを決議したと発表した。取得期間は15日から2026年5月14日まで。

25年3月期の営業利益は同16.4%増の1兆4071億円となり、1兆3350億円の会社計画を上振れた。金融を除くベースでは同23.3%増の1兆2766億円となり、過去最高を更新した。

ネットワークサービスや自社制作以外のゲームソフトの販売増、モバイル機器向けイメージセンサーの増収が寄与したほか、為替円安も利益を押し上げた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中ロ首脳、中東情勢巡り近く電話会談へ=ロシア大統領

ビジネス

米輸入物価、5月は前月比横ばい エネルギー製品の低

ワールド

支援物資待つガザ住民59人死亡、イスラエル軍戦車が

ビジネス

米5月小売売上高‐0.9%、4カ月ぶりの大幅減 自
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中