NY外為市場=ドル急伸、米中合意で景気懸念が緩和

ニューヨーク外為市場で、ドルが急伸した。(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[ニューヨーク 12日 ロイター] - ニューヨーク外為市場で、ドルが急伸した。米中が相互関税を一時的に引き下げることで合意し、世界の2大経済大国の貿易戦争で世界的な景気後退が引き起こされるとの懸念が和らいだことが背景。
米国と中国は10─11日にスイスのジュネーブで行った閣僚級協議で、相互に発動した関税率を115%ポイント引き下げることで合意。上乗せ分の90日間の停止、経済・貿易関係に関する協議メカニズムの構築も打ち出した。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は、90日間の停止措置が合意され、基本的に時間を稼ぐことができたと指摘。同時に、「米国はあまり見返りを得ることなく譲歩したようにみえる」とし、「結局は振り出しに戻っただけだ」と述べた。
終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は 1.5%高の101.91。
ドル/円は2.19%高の 148.50円。一時148.64円と、4月3日以来の高値を付けた。
ユーロ/ドルは1.54%安の1.1074ドル。1日の下落としては昨年1月6日以来の大きさになる見通し。
ドルは貿易協議の合意に対する楽観的な見方の高まりを受け、3週連続で上昇しているものの、トランプ米大統領が大規模な関税措置を発表した4月2日以降では依然として2.2%下落している。
こうした中、世界的な貿易戦争で米経済が受けた影響のほか、米連邦準備理事会(FRB)の利下げの可能性を探ろうと、米労働省が13日に発表する4月の消費者物価指数のほか、15日に発表される4月の小売売上高が注目されている。
米中合意を受け、市場ではFRBの利下げ時期の見通しが後ずれ。FRBが0.25%ポイントの追加利下げに動くのは9月と、先週時点の7月から後ずれした。
週末の間に報じられたニュースで、地政学的な緊張が緩和。 トランプ大統領が10日に、インドとパキスタンが「完全かつ即時の停戦」に合意したと明らかにしたほか、 ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、ロシアのプーチン大統領が提案した両国の直接協議について、プーチン氏と15日にトルコで会談する用意があると表明した。同協議にはトランプ大統領がこの日、参加する可能性を示唆した。
ドル/円 NY午後4時 148.38/148.39
始値 148.38
高値 148.64
安値 147.82
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1092/1.1093
始値 1.1079
高値 1.1134
安値 1.1066