ニュース速報
ビジネス

中国財政相会見、刺激策の「規模」不明 市場の期待は空振り

2024年10月13日(日)20時22分

 市場が注目した藍仏安・中国財政相の会見は、経済回復にかける政府の真剣さは伝わったが、肝心の規模が不透明だった。中国政府が発表する景気支援策は具体的な内容が不明なことが多く、投資家は今回も肩透かしを食らった格好だ。北京で2023年7月撮影(2024年 ロイター/Thomas Peter)

Samuel Shen Ankur Banerjee Tom Westbrook

[上海/シンガポール 12日 ロイター] - 市場が注目した藍仏安・中国財政相の会見は、経済回復にかける政府の真剣さは伝わったが、肝心の規模が不透明だった。中国政府が発表する景気支援策は具体的な内容が不明なことが多く、投資家は今回も肩透かしを食らった格好だ。

藍財政相は12日の記者会見で、国債の大幅な増発を通じて国有企業の資本増強や不動産業界の支援、消費喚起をはかると説明した。しかし、それらの施策にどの程度、支出するかは明らかにせず、投資家をがっかりさせた。

「発表された財政刺激策は予想より弱い。予定も金額も、資金がどのように使われるかも分からない」と上海のファンド会社Shanghai QiuYang Capital の投資マネジャー、Huang Yan氏は語った。Huang氏は消費促進策を期待していた。市場アナリストは、2兆─10兆元(2830億─1兆4000億ドル)規模を予想していた。

9月下旬に中国人民銀行(中央銀行)が「コロナ禍以来最大」の景気刺激措置を発表し、中国株式市場は3週間で16%上昇した。ただ足元では「刺激策ラリー」が勢いを失い、代わって政策措置の景気押し上げ効果への懸念が台頭した。そんな中で財政相の会見が開かれることになり、市場は具体的な規模が分かると期待を高めていた。

しかし期待は空振りに終わった。Huang氏は「(会見が)これでは、株上昇が失速する可能性がある」と語った。

HSBCのアジア地域チーフエコノミスト、フレッド・ノイマン氏は、具体的な数字は、今月開かれる予定の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が承認するまで出てこないと予想し「投資家は忍耐強くなる必要がある」と述べた。

元ブリッジウォーターの中国アナリスト、ジェイソン・ベッドフォード氏は、藍財政相が大手国有銀行の資本増強を打ち出したのは、借り入れ需要の復活を期待していることの現れとみる。ただ、経済がより多くの信用を必要とするには、財政(支援)を提供し信用需要を創出できるかにかかっていると指摘した。

ウィルソン・アセット・マネジメント(シドニー)のポートフォリオマネジャー、マシュー・ハウプト氏は、「イベントマネー」の一部は、会見内容が高い期待に届かなかったとして投資を引き揚げる可能性があるが、基幹的なマネーは、中国政府の経済安定化に向けた姿勢を評価するのではないか、とみている。

LSEGリッパーのデータによると、人民銀行が大規模な景気支援策を発表した9月24日以降、海外の中国ファンドには139億1000万ドルの資金が流入し、年初来の流入額は543億4000万ドルに達した。この資金の多くは上場投資信託(ETF)に向かい、ミューチュアル・ファンドは117億7000万ドルの流出超となっている。

ベッドフォード氏は、株式市場の上昇持続に向け個人投資家の関心復活に期待する。「個人主導の持続的な上昇が成功の基盤だ。われわれはこのプロセスの初期段階にある。リスクは実行上の問題や不十分な対話だ。それでも構造的な事態の展開には依然期待できるものがある」と語った。

*写真を差し替えて再送します

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン指導者殺害を非難 米・イスラエル攻撃

ワールド

中国、中東での停戦仲介継続へ=外相

ビジネス

ウニクレディトCEO、コメルツ銀への提案条件改善を

ワールド

レバノンで毎日1クラス分の子ども死傷、ユニセフが緊
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 4
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 5
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 6
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 7
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 8
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中