ニュース速報
ビジネス

中国人民銀、予想外に主要金利引き下げ 成長後押しへ

2024年07月22日(月)16時02分

 7月22日、中国人民銀行(中央銀行)は、経済成長を後押しするため、主要な短期政策金利である7日物リバースレポ金利と銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想外に引き下げた。写真は中国元紙幣。北京で2017年5月撮影(2024 ロイター/Thomas White)

[上海 22日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は22日、経済成長を後押しするため、主要な短期政策金利である7日物リバースレポ金利と銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想外に引き下げた。

先週発表の第2・四半期(4─6月)国内総生産(GDP)成長率は市場予想を下回る4.7%に鈍化。また、共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が先週開かれたばかりのタイミングで利下げに踏み切った。

中国はデフレに近づきつつあり、不動産危機の長期化、債務の急増、消費者・企業マインドの低迷に直面している。世界の指導者たちが中国の輸出攻勢への警戒感を強める中、貿易摩擦も再燃している。

人民銀は、期間7日のリバースレポ金利を1.8%から1.7%に引き下げると発表。公開市場操作のメカニズムを改善する方針も示した。

その数分後にはLPRを同じく10ベーシスポイント(bp)引き下げると発表。1年物LPRは3.35%に、5年物LPRは3.85%に下げた。

マッコーリーの中国担当チーフエコノミスト、ラリー・フー氏は「引き下げは予想外の動きで、おそらく第2・四半期の成長モメンタムの急減速と、3中全会による『今年の成長目標を達成する』との呼びかけを受けたものだろう」と述べた。

BNPパリバの中華圏通貨・金利戦略責任者、ジュ・ワン氏は、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始への期待の高まりが人民銀に金融緩和の余地を与えたと分析した。

新華社は人民銀に近い匿名の関係筋の話として、「断固とした」利下げは景気回復を後押しする決意を示したものであり、今年の成長目標を達成するという3中全会の意向に沿ったものだと伝えた。

人民銀は融資プログラムにも調整を加え、中期貸出ファシリティー(MLF)融資の担保要件を今月から引き下げると発表した。

アナリストによると、これにより銀行は担保として保有する長期債を減らし、取引などに回すことができる。長期金利の下限を設定し、債券バブルを抑制し、利回り曲線をよりスティープにする人民銀の目的にも寄与するという。

利下げを受けて人民元は下落し、一時は1ドル=7.2750元と約2週間ぶりの安値を付けたが、その後下げ幅を縮小した。

中国の国債利回りは幅広い年限で低下。10年物と30年物は一時3ベーシスポイント(bp)低下したが、その後はそれぞれ2.24%、2.45%で安定的に推移している。

上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「人民銀がFRBの利下げを待たなかったのは、政府が中国経済への下押し圧力を認識しているということだ」と指摘。FRBが利下げ局面に入った後にさらなる引き下げがあると予想した。

人民銀は声明で、金利引き下げは「実体経済への支援を改善するため、カウンターシクリカル(反循環的、逆周期)調整を強化する」ことが目的だと述べた。

新華社は関係筋の発言として、「これは市場志向の金利メカニズムの改善も反映している」と伝えた。

人民銀はこれまでに金融政策の波及経路を強化する方針を示しており、潘功勝総裁は先月、7日物リバースレポ金利が主要政策金利の機能を果たしていると説明した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

再送-米政府、海上停滞中のイラン産原油売却を容認 

ワールド

米国防総省、パランティアのAIを指揮統制システムに

ビジネス

米ユナイテッド航空 、秋まで運航便5%削減 中東情

ワールド

米、イラン戦争の目標達成に近づく=トランプ氏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    「嘘でしょ!」空港で「まさかの持ち物」を武器と勘…
  • 8
    将来のアルツハイマー病を予言する「4種の先行疾患」…
  • 9
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 7
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 8
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中