ニュース速報
ビジネス

利下げ急がず、2カ月は物価統計確認する必要=ウォラーFRB理事

2024年02月23日(金)12時52分

 ウォラーFRB理事は22日、最近のインフレ指標が物価安定に向けた進展の停滞を示すものか見極めるため、少なくともあと2カ月程度は利下げを先送りすべきとの見方を示した。2023年3月サンフランシスコで撮影(2024年 ロイター/Ann Saphir)

[22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は22日、最近のインフレ指標が物価安定に向けた進展の停滞を示すものか見極めるため、少なくともあと2カ月程度は利下げを先送りすべきとの見方を示した。

ウォラー氏は1月の米消費者物価指数(CPI)や2023年第4・四半期国内総生産(GDP)、1月の雇用統計を受けて「23年後半に見られたインフレ(鈍化)の進展が続くと確認する必要があるという考えが強まった。金融政策を正常化するために利下げ開始を急ぐ必要はないということだ」と述べた。

インフレ鈍化で「実質的」かつ「かなりの」進展があったとも指摘し、最新のデータを踏まえると、来週発表の1月コア個人消費支出(PCE)価格指数の前年比上昇率は2.8%になる可能性が高いとした。1年前の水準は4.9%だった。

インフレ率は引き続きFRBの2%目標到達に向かっている可能性が高いとしつつ、「1月がスピードバンプ(速度を落とす突起物)だったのか、深い穴(pothole)だったのか見極めるには少なくともあと2カ月程度(another couple more months)のインフレデータを確認する必要がある」と述べた。

その他の多くの指標は経済が依然として基本的に強いことを示しているため、「政策緩和をもう少し待つことのリスクは、拙速に行動してインフレ(鈍化)に関する進展を止めたり、反転させたりするリスクよりも低い」とした。

経済や金融政策に関するウォラー氏の見解はFRB当局者全体の傾向を示すことが多い。今回の発言は、インフレ目標達成が「射程圏内」にあるとした1月の講演からトーンが変化した格好だ。

同氏は賃金上昇や経済活動、雇用の動向について、FRBに早期の行動を迫る軟調な兆候がないかだけでなく、「インフレ率2%に向けた持続的な進展と整合的」かどうかを注意深く見守ると述べた。

利下げが遅すぎればリセッション(景気後退)のリスクが高まるとの指摘に関しては、緩和を「もう少し待つ」余裕があるとして否定的な立場を示した。

「大きな経済ショックがなければ、利下げを数カ月遅らせても短期的に実体経済に大きな影響はないはずだ」とした一方、「行動が早すぎればインフレ(鈍化)の進展を台無しにし、経済にかなりの害をもたらすリスクがある」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

メキシコ下院、中国などに来年最大50%の輸入関税承

ビジネス

FRB、短期債購入開始へ 市場流動性管理で

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、FRB議長が利上げの可能性

ワールド

米、ベネズエラ沖でタンカー拿捕 一段と緊張高まる公
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中