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英企業・家計は金利上昇に対処、今後リスクも=中銀金融安定報告

2023年12月06日(水)20時44分

イングランド銀行(英中央銀行)は6日、半年に一度の金融安定報告書を発表した。ロンドンの本部、9月撮影。(2023年 ロイター/Hollie Adams/File Photo)

[ロンドン 6日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は6日、半年に一度の金融安定報告書を発表した。企業と家計は今のところ金利上昇に対処しているが、借り入れコストの上昇や銀行の資金調達方法の変更が将来的に金融セクターにリスクとなる恐れがあるとの見方を示した。

「経済活動の低迷、世界の成長とインフレ見通しへのさらなるリスク、地政学的緊張の高まりを反映し、全体的なリスク環境は引き続き厳しい」と指摘した。

7月の前回調査以降、予想を上回る賃金と所得の伸びが家計の負担を一部軽減したと分析。しかし「生活費の増加と金利の上昇が依然として家計を圧迫しており、金利上昇の一部は住宅ローン返済額の増加にまだ反映されていない」と述べた。

また金利上昇や経済成長鈍化に対して企業はおおむね底堅さを示しているが「資金調達コスト上昇の影響はまだ全ての借り手に転嫁されていない」とした。

通常の当座預金から高金利の定期預金への切り替えを踏まえ、銀行に対し資金調達における課題に備えて事前に計画を立てるよう促していると指摘。

「英国の銀行システムは資本が充実しており流動性が高い」とし、純金利マージンはおそらくピークに達したが収益性は引き続き堅調に推移すると予想した。

その上で、中国不動産市場の混乱や、中東の緊張が原油価格を押し上げて経済成長に悪影響を与えるケースなどをリスクとして挙げた。

リスクの高い社債に投資するファンドからの資金流出や、ヘッジファンドや資産運用会社による米国債の売り持ちと買い持ちの増加により、市場のボラティリティーがさらに高まる恐れがあるとした。

来年は人工知能(AI)の台頭によってもたらされるリスクを監視すると表明した。

ロイター
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