インタビュー:企業は資本効率を意識、コンサル件数10倍に=みずほ信託社長

12月4日、みずほ信託銀行の梅田圭社長(写真)は、資本効率の改善を意識する企業が多くなっているとし、実際、株価純資産倍率(PBR)をテーマとしたコンサルティングの面談件数が月60―100件と、前年の10倍に増加していると明らかにした。写真は11月、都内で撮影(2023年 ロイター/Ritsuko Shimizu)
Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki
[東京 4日 ロイター] - みずほ信託銀行の梅田圭社長は、資本効率の改善を意識する企業が多くなっているとし、実際、株価純資産倍率(PBR)をテーマとしたコンサルティングの面談件数が月60―100件と、前年の10倍に増加していると明らかにした。
梅田社長はロイターとのインタビューで「企業から、PBR1倍割れに対してどういう対処をしていくかという相談が非常に多くなってきている」と述べた。
同行のコンサルティング本部では、企業の事業ポートフォリオに関して、株主から求められている資本コストに見合っているかという観点で分析。「将来の戦略立案に向けて活用してもらっている」という。
同行が強みを持つ不動産でも、株主から求められているリターンと賃貸としている本業以外の保有不動産のリターンを比較して著しく低い場合、外部売却などを通して、本業の事業投資や株主還元などへの資金活用の提案を行っている。
梅田社長は、PBR引き上げ要請により、企業が遊休不動産を売却する動きが加速している面があるとし、今後もアクティビスト(物言う株主)などからのプレッシャーが続くと指摘。仮に企業側が売らないという判断をする場合でも、資本コストの観点などからの論拠を示すことが求められる、との見方を示した。
梅田社長は「景気拡大と金利上昇、賃金上昇が正循環していくチャンスになってきてる」と述べ、企業が株主還元だけではなく、キャッシュフローをどのように使っていくかという課題を強く認識している局面だとも話した。
企業が上場していることのメリットとコストを意識する中で、MBO(経営陣が参加する買収)で非上場化を選択する動きが目立ってきている。梅田社長は「上場していることにより、例えば採用上有利だったり、資金調達上有利というところは、少なくとも形は変わってきていると思う。戦略遂行の判断のスピード重視も含めて、場合によっては一旦非上場というような選択肢をとる企業が、少しずつ増えてきているのは実感している」と語った。
11月に入り、ベネッセホールディングスがMBOを発表したほか、大正製薬ホールディングスも7000億円規模のMBOを実施し非上場化すると発表している。
*インタビューは11月27日に実施しました。