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英格付け見通し「ネガティブ」、一段の引き下げも=S&P

2016年10月29日(土)03時30分

 10月28日、S&Pが英国の格付け見通しを「ネガティブ」に維持すると決定した。写真はロンドンで9月撮影(2016年 ロイター/Luke MacGregor)

[ロンドン 28日 ロイター] - 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は28日、英国の格付け見通しを「ネガティブ」に維持することを決定した。

S&Pは6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決定されたことを受け、英国の「AAA」格付けを「AA」に2段階引き下げたが、離脱後の先行きが不透明となっていることから、一段の格下げもあり得るとしている。

S&Pは、EU離脱は英経済、特に金融部門に対する大きなリスクとなると見ていると指摘。離脱決定により英国の政策枠組みの予測可能性が低減したとの見方も示した。

S&Pは一段の格下げにつながる可能性のある要因として、予想を下回る成長、外国の中央銀行が外貨準備として保有する英ポンドの一部売却の決定、スコットランド独立の是非を問う住民投票の再度実施などを挙げた。

メイ英首相は今月初め、EU離脱に向けた交渉を来年の3月末までに始める考えを表明。EU離脱手続きの規定では、EU基本条約(リスボン条約)50条を発動し、離脱を正式に告知してから原則2年で交渉を終える必要がある。

S&Pはこうした期間では良好な成果を得るには短過ぎると指摘。交渉結果が中途半端に終わったり、英国にとり有害なものになるリスクは大きいとした。

英国の経済成長率は2017─19年は毎年平均1%で推移すると予想。6月に示した予想をおおむね維持した。

一般公的債務の国内総生産(GDP)比率は今年は85%と高水準に達すると予想。成長鈍化に加え、財政出動に対する政治的な圧力により債務削減の足取りが一段と鈍る可能性があるとした。

さらに、EU離脱決後、英ポンドがドルとユーロに対し大きく下落したことで、安定した準備通貨としてのポンドに対する信頼に傷が付いたとも指摘。外国中銀の外貨準備に占めるポンドの割合が離脱決定前の4.7%から3%を下回る水準に低下した場合、英国の格付けを一段と引き下げる正統な理由となるとした。

*内容を追加して再送します。

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