ニュース速報

ビジネス

福島第1の廃炉費用、年数千億円増も 経産相「年内めどに提示」

2016年10月25日(火)14時23分

10月25日、経済産業省は、東京電力福島第1原発の廃炉費用について、燃料デブリ取り出し作業により増加する見込みで、年間数千億円程度の資金確保が必要になる可能性があるとの見方を示した。写真は1号機・2号号原子炉前で2月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 25日 ロイター] - 経済産業省は25日、東京電力<9501.T>福島第1原発の廃炉費用について、燃料デブリ取り出し作業により増加する見込みで、年間数千億円程度の資金確保が必要になる可能性があるとの見方を示した。同日朝に開催された「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)の資料で明らかにした。

世耕弘成経産相は東電委員会後の記者会見で、福島第1原発の廃炉費用の試算について「想定される金額は年内をめどに提示したい」と述べた。経産省によると、2013年度から15年度までの3年間の平均金額は約800億円になっている。

同資料では、廃炉や賠償など福島原発事故に伴う費用の負担について4つの「シナリオ」のイメージを提示。1)国が肩代わりし東電は現状維持、2)公的資金を投入し東電は長期公的管理、3)国が東電を放置し東電は法的整理、4)国が必要な対応を行い、東電は改革を実行━━とした。

2回目の開催となった同委員会の冒頭で、世耕経産相は「東電委員会は東電救済ではなく、東電の改革を検討する場。電力やエネルギー産業の姿、福島を支える仕組み、事故に備えた制度のあり方を指し示す基礎となる。国民的テーマを扱う議論の場だ」と述べた。

同委員会は非公開で運営しており、世耕氏の冒頭発言の後、報道陣は会場から退出を求められた。世耕氏は会見で会議を非公開にしていることについて「個社の経営や海外との話も出てくる。議事要旨の公開で対応したい」と述べた。

<議論は東電改革とセットで>

会議終了後、東電委員会の伊藤邦雄委員長(一橋大学大学院商学研究科特任教授)らが記者会見した。

4つのシナリオの中から選択して議論するのかとの質問に対して伊藤氏は、「シナリオ1、2、3は採らない。今後の議論はシナリオ4(東電の改革)の中で細部も含めて具体的な議論をしていく」と述べた。

東電の数土文夫会長は今年7月末の記者会見で、「事業再編も含めた非連続な経営改革が必要」と表明。東電委員会での配布資料には「非連続な経営改革(事業再編)」として「送配電」や「原子力」での「連携の実行」が記載されている。

資源エネルギー庁電力・ガス事業部の畠山陽二郎政策課長は、「東電持ち株会社の中に原子力事業があるが、引き続き持ち株会社の中でやっていくのか、子会社にして他社との連携も含めて考えるのかなど、あらゆる可能性を排除しないという意図」と説明した。

*内容を追加しました。

(浜田健太郎)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、利下げ「近づく」と総裁 物価安定の進展

ワールド

トランプ氏、コロンビア大のデモ隊強制排除でNY市警

ビジネス

米イーベイ、第2四半期売上高見通しが予想下回る 主

ビジネス

米連邦通信委、ファーウェイなどの無線機器認証関与を
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中