ニュース速報

ビジネス

第2四半期の米GDP速報値1.2%増、想定外の低い伸び 消費堅調

2016年07月30日(土)04時26分

 7月29日、第2・四半期の米GDP速報値は1.2%増と、市場予想の2.6%増を大きく下回った。写真はロサンゼルスのショッピングモールの様子。2013年11月撮影。(2016年 ロイター/ David McNew)

[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率で1.2%増となり、伸びは市場予想の2.6%増を大きく下回った。在庫の落ち込みが下押し要因となり、堅調な個人消費を相殺した。

GDPの伸びは、第1・四半期の0.8%増(下方修正)から加速した。

持ち直しが見込まれていた第2・四半期が想定外に弱い伸びにとどまったことに加え、昨年第4・四半期も0.9%増と、当初から0.5%ポイント下方修正された。3四半期連続でGDPの伸びが低迷したことになり、米景気が大きく失速し停滞するリスクがあることを示唆している。

だがエコノミストは堅調な個人消費に支えられる形で、下期は平均で2%強の成長率に戻ると見込んでいる。

在庫を除く最終需要は2.4%増。内需は2.7%のペースで増えた。

米個人消費支出は4.2%増え、2014年第4・四半期以来の大幅な伸びを記録した。この水準を維持することはおそらく不可能だが、雇用市場の引き締まりや住宅価格の上昇、貯蓄増加が年内の消費を下支えるとエコノミストは指摘している。

家計の可処分所得はインフレ調整後で139億2000万ドル増と、増加ペースは年初の138億1000万ドルから加速した。

一方、在庫は81億ドル減と、2011年第3・四半期以来初めてマイナスに転じた。これに伴い在庫投資はGDP伸びを1.16%ポイント押し下げた。在庫が押し下げ要因となるのは4四半期連続。ただ在庫減は年内の生産を押し上げる要因になる。

ただ、米連邦準備理事会(FRB)は雇用とインフレの目標達成に注力しているため、第2・四半期のGDP下振れが金利見通しに影響する公算は小さいとみられている。

BNPパリバの北米担当チーフエコノミスト、ポール・モーティマーリー氏は「FRBが在庫の大幅変動を受けて金融政策を決定する可能性は低く、むしろ労働市場の動向や最終需要に注目するだろう」と指摘。だが、ハト派がこれらの数字に言及し、様子見すべき根拠と主張することは考えられると話す。

長引くドル高による影響や世界的な需要減退にもかかわらず、輸出は増加し、貿易赤字が縮小した。これに伴い、貿易のGDP寄与度は0.23%ポイントだった。

機器の設備投資は3.5%減と、3四半期連続のマイナス。ただ落ち込み幅は縮小した。原油安を背景とするエネルギー業界の投資縮小に加え、世界の需要動向や米大統領選をめぐる不透明感が足かせとみられている。

構造物の投資は7.9%減った。前四半期は0.1%増だったが、再びマイナスに転じた。これには石油・ガスの油井が含まれる。

米政府は今回、2016年第1・四半期から2013年からまで遡って改定値を公表した。第1・四半期GDPデータが実際より低く算出される傾向があり、これに一部対処した。その結果、2015年第1・四半期GDPは当初発表の0.6%増から2.0%増に大きく上方修正された。

*内容を追加して再送増す。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 6

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中