ニュース速報

ビジネス

英EU離脱問題が6月米金利決定に影響も、FRB内で警戒感

2016年05月06日(金)04時55分

 5月5日、英国のEU離脱問題が米追加利上げ決定に影響を与え得るとの見方がFRB内で強まっている。写真は車に貼られたEU離脱を訴えるスティッカー。英ウェールズで2月27日撮影。(2016年 ロイター/Phil Noble)

[パロアルト(米カリフォルニア州)/ワシントン 5日 ロイター] - 英国で来月23日に実施される欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が、米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げの決定に影響を与える海外イベントになるとの見方がFRB内で強まっている。

米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は5日、英国民投票をめぐる動向が6月14━15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定に関わってくるとの考えを表明。

「6月中旬までには英国のEU離脱の可能性、および市場の反応などについてより多くの情報が得られているはずだ」とし、離脱の公算が大きくなり、市場もこれに反応すると予想されれば「こうした状況が米経済、および経済見通しにどのような影響を及ぼすのか考慮する必要が出てくる」と述べた。

ウィリアムズ総裁はまた、CNBCとのインタビューで、雇用の力強い伸びとインフレ加速の兆候を踏まえると、年内に2─3回の利上げは妥当なようだとの見解を示した。

ウィリアムズ総裁に加え、アトランタ地区連銀のロックハート総裁も今週、英国のEU離脱問題が利上げの是非を考える上で「大きく立ちはだかる」と述べている。

米ダラス地区連銀のカプラン総裁も先週のロンドン訪問時に、国民投票の結果が事前にかなり明確な情勢でない限り、6月の金融政策決定に影響を及ぼす可能性があるとの考えを示した。

最近の英世論調査では、離脱派と残留派のきっ抗が伝えられている。

ただこの問題に関するFRB内の見解が一枚岩という訳ではない。

米セントルイス地区連銀のブラード総裁は5日、FRBの追加利上げを阻む一因となってきた国際情勢による向かい風は弱まっているもようで、英国のEU離脱問題も米経済に影響を与えることはないとの認識を示した。

「仮に離脱を決めたとしても、その後長期にわたる交渉が続く」とし、世界的に緊張を招く事態にはならないと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

住友商、マダガスカルのニッケル事業で減損約890億

ビジネス

住友商、発行済み株式の1.6%・500億円上限に自

ビジネス

英スタンチャート、第1四半期は5.5%増益 金利上

ビジネス

クレディ・スイス、韓国での空売りで3600万ドル制
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中