ニュース速報

ビジネス

ユーロと円のベア戦略誤算、対豪ドルで金利差影響せず

2016年02月10日(水)15時13分

 2月10日、日銀がマイナス金利を導入し、欧州利回りも一段とマイナスに。高利回りの豪ドルを買うのは理にかなった行動のように見えるが、金利差だけが相場の決定要因ではないことが鮮明になった。写真は豪20ドル紙幣。2008年10月撮影(2016年 ロイター/Tim Wimborne)

[シドニー 10日 ロイター] - 日銀がマイナス金利を導入し、欧州の利回りも一段のマイナスとなるなか、円やユーロを売って、高利回りの豪ドルを買うのは理にかなった行動のように見える。しかし、最近の為替相場はこれとは真逆の動きを示しており、金利差だけが相場の決定要因ではないことが鮮明になった。

豪ドル/円はこの6営業日で6円近く下落し、今や2012年安値が視野に入っている。ユーロは1ユーロ=1.6100豪ドル付近で推移し、この2週間で10豪セント上昇している。

背景にあるのは経常収支だ。経常収支は外為市場では軽視されがちだが、リスク警戒感が高まっている時期は影響力が強まることが多い。

コモンウェルス銀行(CBA)のチーフ外為・金利ストラテジスト、リチャード・グレース氏は「経常収支は金利差よりも、為替相場の重要かつ長期的な決定材料だ」と指摘。「金利変動や、金利差と比べると、地味ではあるが、陰で影響していることがある」などとしている。

直近データによると、ユーロ圏の経常収支は年3600億ユーロ(約4070億ドル)前後の黒字、日本は17兆円(約1480億ドル)の黒字だ。対照的に、オーストラリアと米国は赤字となっている。

<豪ドルに下落余地>

アナリストらは、経常収支効果は当面は続く可能性がある、との見方を示している。豪ドルは、市場の緊張感が高く世界経済をめぐる警戒感が強い局面に売られがちなコモディティ通貨であり、先行きは暗い。

ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、ショーン・キャロー氏は「世界のリスク許容度全般について弱気であるならば、豪ドルにはさらなる下落余地がある、ということになる」となどと指摘した。

*見出しを修正します。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国海洋石油の元幹部を調査、重大な規律違反疑いで当

ワールド

豪中銀、政策金利据え置き 物価上昇圧力を警戒

ワールド

パレスチナ国連加盟決議案、総会で10日採決の可能性

ワールド

米公的年金・メディケア、積立金枯渇見通し後ずれ 経
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 2

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中