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ドル121円半ば、株価支えに堅調推移

2015年05月25日(月)15時30分

 5月25日、午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ややドル高/円安の121円半ばだった。都内で2009年11月撮影(2015年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 25日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ややドル高/円安の121円半ばだった。久々の121円台のため相応に売りも出たもようだが、株価が上げ幅を拡大する中で堅調地合いが継続した。午後には関東地方で強めの地震が発生し、株価とともにいったんドル/円は弱含んだが、間もなく値を戻した。

前週末に発表された米国の4月消費者物価指数(CPI)のコア指数が市場予想を上回る数字となったことや、イエレンFRB議長が講演で年内利上げの可能性を示唆したことなどが、ドルの追い風となった。

きょうは商業決済が集中する五・十日に当たり、実需筋のフローも流入するとみられていた。朝方121.50─60円台で推移していたドル/円は、一時121.78円まで買い進められたが、仲値では輸出企業のドル売り/円買いが優勢となり、121.62円まで下落した。ただ、下げの勢いはそれほど強くなく、正午にかけては高値圏でもみ合う展開となった。

市場では「久々の121円台なので相応に売りが出てきているが、買いの勢いが強い」(邦銀)との声が聞かれた。イエレンFRB議長の講演に加え、国際通貨基金(IMF)が対日経済審査の報告書で日銀に対してさらなる追加緩和を求めたことなどが意識されたという。

日経平均株価が上げ幅を広げたことも、ドル/円を支えたという。午後には取引の停滞感が強まったといい、正午以降は121.57─121.72円の15銭の値幅にとどまり「ドルが主体的に値を上げているというより、株価に連れ高になっているイメージ」(国内金融機関)との声が出ていた。

14時半ごろには、埼玉県北部を震源とするマグニチュード5.6の地震が発生し、ドルは地震発生直前の121.67円付近から、121.57円付近まで小幅に下落したが、まもなく反発した。売りの主体は海外短期筋だったという。

目先で年初来高値122.04円は「短期筋を中心に、完全に視野に入っている」(国内金融機関)というが、きょうは米国の株式・債券市場がメモリアルデーの祝日のため休場。英国の株式市場もバンクホリデーで休場で参加者が少なく、きょう中の高値更新は「もう一段高となる材料が期待しにくく、微妙な情勢」(同)との指摘が出ていた。

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(19日までの週)によると、円の売り越しは2万2005枚で、前週の2万3593枚から減少していた。円ショートに増加余地があるため、今週は円安になりやすいとの見方が出ていた。

<4月貿易収支への反応は限定的>

財務省が発表した4月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は534億円の赤字だった。赤字額はロイターがまとめた市場予測(3189億円程度の赤字)を大幅に下回ったが、市場の反応は限定的だった。3月には2012年6月以来2年9カ月ぶりに黒字となったが、再び赤字に転じた。

野村証券・経済調査部のシニアエコノミスト、桑原真樹氏は「輸出は季節調整をすると実質で前月比0.6%プラス。やや伸びが弱い印象だ」と指摘。米国は4月に入ってもさえない経済指標が続いており、4─6月期の日本の輸出の伸びも1─3月期に比べると弱めになりそうだとの見方を示した。

その上で、桑原氏は「米国では雇用環境が改善してきている。消費者マインドも悪くなく、いずれ需要は戻ってくるだろう。日本の輸出は7─9月期から伸びを取り戻し、景気回復を主導していく」と語った。

ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在  121.61/63 1.0984/88 133.59/63

正午現在    121.65/67 1.0986/90 133.66/70      

午前9時    121.55/57 1.0989/93 133.58/62

NY午後5時  121.52/59 1.1013/18 133.80/84 

(為替マーケットチーム)

ロイター
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