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英GDP、4-6月期は6年半ぶりマイナス 財務相「景気後退ない」

2019年08月09日(金)23時57分

[ロンドン 9日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は、前期比0.2%減と、2012年第4・四半期以来6年半ぶりのマイナス成長となった。欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)に絡み、当初の離脱期限だった3月末に向けた駆け込み的な在庫積み増しの反動が予想以上に表れた。

ロイターが調査したエコノミストの予想は変わらずだった。前年比では1.2%増。第1・四半期の1.8%増から減速し2018年第1・四半期以来の低い伸びとなった。6月単月では1.0%増と13年8月以来の低成長にとどまった。

PwCのシニアエコノミスト、マイク・ジェークマン氏は「経済は停滞している」とした上で、EU離脱問題や世界経済を巡る不確実性を背景に、英経済は予断を許さない状況に直面していると述べた。

一方、ジャビド財務相は、経済が景気後退(リセッション)に陥るとはまったく想定していないと言明。外部環境が課題となる一方で、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は堅調だとし「賃金が伸びているほか、雇用も過去最高を記録している。今年の成長率はドイツやイタリア、日本を上回る見込みだ」とした。

ジョンソン政権は、離脱協定の有無にかかわらず10月31日にEUを離脱する方針を示しており、年末にかけての見通しは非常に不透明になっている。

世界経済も、主に米中貿易戦争の影響で減速している。

イングランド銀行(英中銀)は前週、今第3・四半期の成長率が前期比で0.3%と限定的な回復にとどまるとし、2019年の成長率予想を1.3%に下方修正した。[nL4N24X44Q]

4月の段階で落ち込んでいた製造業生産は、あらためて不振が鮮明となった。6月の製造業生産は前年比1.4%減と2018年12月以来の大幅減。第2・四半期は前期比2.3%減で、景気後退局面にあった2009年第1・四半期以来、最大の減少となった。

統計局の統計担当者は「製造業生産は、当初のEU離脱期日を控えた生産前倒しで今年は力強いスタートを切ったが、再び減少した」と述べた。

民間調査では、7月の企業の景況感は、製造業、建設業がともに悪化し、サービス業だけが良好だった。

第2・四半期のGDP統計の項目をみると、企業の設備投資が前期比0.5%減とエコノミストの予想(0.3%減)以上に落ち込む一方で、家計支出は、失業率の低下や賃金の上昇を背景に前期比0.5%増加した。

6月の貿易収支は70億0900万ポンドの赤字で、赤字額はエコノミスト予想(118億ポンドの赤字)を下回り2011年4月以来の低水準となった。

EU域外との貿易収支は18億6000万ポンドの赤字。赤字額は過去最低となった。

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