
首脳会談に先立ち、韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れた韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相(5月21日、広島市) YUICHI YAMAZAKIーPOOLーREUTERS
<戦後最悪の関係から急速な改善へと日本と韓国を動かす中国ファクター>
東京五輪さなかのコロナ感染拡大について記者会見を行った菅首相(7月30日) Issei Kato- REUTERS
<菅政権は全力で国民の生命を救おうとはしていない。何もしなくても「政権は安泰」と高を括っているからだ>
8月2日、政府は新型コロナウイルスで、「中等症」であっても「症状が軽い」あるいは「重症化リスクの少ない」患者に関しては、「自宅療養」を可とする方針を出した。これまでは原則的にコロナ患者は入院、無症状や軽症の場合は宿泊施設に入るという方針で進めていたが、その方針を転換したかたちだ。
オリンピックの開会式を含む7月の4連休以降、日本全体に渡って新型コロナウイルスの急増がみられ、特に東京では一日4000人を越える感染者が出ている。すでに小池百合子都知事は比較的軽症の独身者に対して「自宅を病床のようなかたちで」と「自宅療養」を勧めていた。また、今年春に大阪で感染者が急増した際、入院もホテルなどの施設に入ることもできず、自宅でほぼ放置された患者が続出した。大阪の死者数の多さは、それが一因だと言われている。現在の東京でも、コロナの症状が出ても、どこに電話しても対応してくれない、などといった状況が既に生まれている。これは医療崩壊である。
厳しいロックダウン、行動制限によって感染者の増加を止めようとしてきた他の国々と比べて、日本のコロナ政策は緩いといわれる。この理由を日本政府の権力の弱さによるものだとして、市民の自由が尊重されていることを評価する者もいる。あるいはより厳しい措置を求めて、憲法の改正にこぎつけようとする者もいる。
しかしそれほど人権を尊重しているなら、市民の生命・健康に関心を払うのを放棄するかのような、このような「自宅療養」への方針転換は行えないはずではないか。コロナ禍は既に1年以上続いている。ワクチンだけではデルタ株を防げないことも以前から分かっていた。それにも拘らず、オリンピックは強行された。ここにきての感染者増加、医療崩壊は、想定外では済まされない。感染者が増えたから「自宅療養」というのは、何もしないと言っているだけなので、対策とは呼べない。強いていうなら棄民政策に等しい。
私たちは一般に、人々に対して積極的に働きかけていく政府をみると、この政府の権力は強いと思う。しかし、積極的な行動は権力の一つの側面でしかない。強い権力は、人々に対して積極的にアプローチするか、消極的にアプローチするかを選ぶことができる。ここで、そのアプローチが生かすためのものなのか、殺すためのものなのかで分類すると。権力を4つのタイプに分類することができる。積極的に生かす権力、積極的に殺す権力、消極的に生かす権力、消極的に殺す権力。
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The China Factor
首脳会談に先立ち、韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れた韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相(5月21日、広島市) YUICHI YAMAZAKIーPOOLーREUTERS
<戦後最悪の関係から急速な改善へと日本と韓国を動かす中国ファクター>
2024年米大統領選の共和党候補指名争いに名乗りを上げた米フロリダ州のデサンティス知事は、アイオワ、ニューハンプシャー両州で開いた集会で選挙運動を本格始動した。ニューハンプシャー州マンチェスターで1日撮影(2023年 ロイター/Brian Snyder)
2024年米大統領選の共和党候補指名争いに名乗りを上げた米フロリダ州のデサンティス知事は、アイオワ、ニューハンプシャー両州で開いた集会で選挙運動を本格始動した。一部の共和党有権者には、ケーシー・デサンティス夫人(42)の存在とメッセージが、大きな政治的「資産」として印象付けられたようだ。
Why Erdogan Won
一時は野党優勢も伝えられたが、しぶとく再選を勝ち取り、大統領官邸前で勝利演説を行うエルドアン UMIT BEKTASーREUTERS
<大衆迎合型の独裁者は社会不安に付け込み、勝ち目がない選挙でも勝利をもぎ取る。独裁者なのに枕を高くして眠れるエルドアンとトルコ社会について>
2024年米大統領選挙戦へようこそ。ここでは「現実」をでっちあげ放題だ。写真はディープフェイク動画作成のため、俳優の顔にワイヤーフレームがかけられた様子。ロンドンで2019年2月撮影(2023年 ロイター)
「私、実はロン・デサンティス氏が大好きで」。あろうことか、共和党の大統領指名獲得争いに出馬したフロリダ州知事を支持していると暴露する民主党のヒラリー・クリントン元米国務長官。「この国が必要としているのは正に彼のような人。本気でそう思います」──。
Erdogan as “One of Us”
イスタンブール市内のカフェで、5月14日に実施された大統領選第1回投票の行方を見守る人々 MEHMET KACMAZ/GETTY IMAGES
<決選投票にもつれこんだトルコ大統領選。独裁的体制と経済低迷が続いても国民の「草の根のナショナリズム」は終わらない>