コラム

優秀な経営者や営業マン、投資家に共通する「ウソ」の種類

2021年11月26日(金)15時30分
藤野英人、鴨頭嘉人

「お金のまなびば!」より

<言葉と時間は、投資や人生における成功とどう関係しているのか。1回300万円の講演家・鴨頭嘉人氏と、ひふみ投信シリーズのファンドマネージャー・藤野英人氏が語り合った>

年間330回もの講演を行う鴨頭嘉人氏。マクドナルドの元店長という経歴から組織マネジメントや販売戦略、コミュニケーションスキル向上など講演内容は幅広いが、1回の講演料は300万円というから驚きだ。

それでも全国から依頼が止まない鴨頭氏が、講演の際に意識していることはあるのだろうか。

「口先だけで稼いでいる僕にとって、一番大事なのは自分を信じること。自分の言葉に対する確信が揺らいだら、その瞬間に価値は下がる。一度口から出た言葉は飲み込むことができないので、自分を信じて、言葉には最大級のエネルギーを込めている」

しかし、時には断言してよいのか迷うこともある。これに対し、ひふみ投信シリーズのファンドマネージャー、藤野英人氏は「優秀な経営者や講演者、営業マン、投資家は皆すべからく『白いウソつき』だ」と話す。白いウソとは一体何なのか。

例えば「幸せにするから」というプロポーズの言葉は厳密に言えばウソである。なぜなら、統計によると日本の夫婦の約3割は離婚しているからだ。何を持って幸せと呼ぶかはさておき、結婚後に不幸な末路をたどる可能性は十分あるということだ。

「しかし、人は『君を絶対に幸せにする』というウソを求めている瞬間がある。幸せにしたい相手に対して、ウソになるかもしれないことを断言できるのが白い嘘つきだ」と藤野氏は言う。

藤野氏と鴨頭氏が対談した YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」で、2人の対話は言葉と時間、お金をめぐるものへと広がっていった。

fujino20211126-kamogashira2-2.jpg

「お金のまなびば!」より

お金を「未来の缶詰」に入れることが大事

鴨頭氏は、長年言葉の研究をしていることで、「相手の言葉が本心かどうか一瞬で分かるようになった」と話す。そのため、今は実績がなくてもいずれ成功すると思った相手に対しては、惜しみなく力を貸すことがあるようだ。

「その人が成長したとき、僕一人ではできなかったことが実現できるという大きなリターンが返ってくる。今までその判断を誤ったことはない」

短期的に見れば力を貸した相手が失敗することもあるかもしれないが、次に成功すれば、その投資は失敗とは言えない。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

関税の影響を評価するのは時期尚早=FRB金融政策報

ビジネス

米株式ファンドから大幅に資金流出 中東緊迫化と関税

ビジネス

フィラデルフィア連銀製造業指数、3カ月連続マイナス

ワールド

IAEA事務局長「最大限の自制を」、イラン核施設へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 8
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 9
    「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プ…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story