コラム

孤立北朝鮮の不可解な「鎖国」

2009年12月18日(金)15時34分

 北朝鮮は、世界からの断絶をさらに深めようとしているかのようだ。在北京の北朝鮮大使館は、外国人へのビザ発給を何の説明もなしに停止した。

 韓国メディアの報道によれば、渡航禁止は12月20日から来年2月まで続く見通しだという。AFP通信は、韓国での報道を次のように伝えている。


 複数の専門家の見解によれば、北朝鮮は金正日(キム・ジョンイル)総書記の中国訪問を前に厳戒態勢を取っていると、朝鮮日報は伝えた。金は飛行機よりも電車での移動を好むことで知られている。

 また、11月に実施されたデノミネーション(通貨呼称単位の変更)で発生した国内の混乱を沈静化するのが(渡航禁止措置の)目的だとみる専門家もいる。


 ニュース要約サイト、ナイトウォッチの編集者ジョン・マクレーリーは次のようにコメントしている。


 ナイトウォッチが知る限り、外国人の渡航禁止措置は、戦争状態に近い状況でしか発令されなかった。在韓の国連軍司令部との緊張が高まったときや米韓合同軍事演習の最中などの事前予防策だ。あるいは、(解体されたとされる)朝鮮人民陸軍第6軍団の90年代の反乱の際などの国内の情勢不安が広がりを見せたとき、または感染症の拡大阻止を図るときなどに限定されていた。


──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2009年12月17日(金)14時07分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 17/12/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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