コラム

韓国スマホ専用銀行kakaobankが大人気 口座急増の理由はフィンテック

2017年10月13日(金)16時20分

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チェックカードには人気のKakaoTalkのキャラクターが使われている。この人気を受けてKBANKも10月中旬からLINE FRIENDSチェックカードをリリースするという。

kakaobankの口座数が急増したのは、何よりも手軽にお金を借りられる個人向け信用貸しサービスに理由がある。

19歳以上であれば誰でも担保なしで300万ウォン(約30万円)まで借りられる「へそくり貸出」は、6時から23時の間に申し込めば数分でお金が口座に振り込まれる。金利は金融業界が共有する個人信用評価レベルに応じて年3.348%〜15%が適用される。

会社員向けの「マイナス貸出」は、審査に数日時間はかかるが、担保なしで最大1億5000万ウォン(約1500万円)を金利2.88%(最安の場合)で借りられる。一般の銀行では、金利は個人信用評価レベルで決まるが最低でも3%以上、金額も担保なしでは数千万ウォンしか借りられない。手続きに必要な住民票や所得証明といった書類も借りる人が用意しないといけないが、kakaobankは「同意」ボタンにタッチするだけで、kakaobank側が書類を揃えてくれる。

預金は1日だけ預けても年1.2%、1年定期預金は年2%と他の銀行より高い金利がもらえる。チェックカードも特典がある。スーパーやコンビニなどの加盟店で支払いに使うと、平日は決済した金額の0.2%、週末と公休日は0.4%をキャッシュバッグする。全国銀行とコンビニのCU・セブンイレブンにある11万4000台あまりのATMが使え、年末まで時間外手数料も無料だ。また、チェックカードに韓国では大人気のKakaoTalkのキャラクターが描いてあることも好評だ。

海外の銀行口座宛ての送金も5000米ドルまでは送金手数料5000ウォン(約500円)だけで送金できる。銀行だと送金手数料、仲介手数料、電信料などが賦課され数万ウォンはするが、kakaobankは送金手数料だけ払えばいい(ただし、今のところは22カ国にしか送金できない)。

kakaobankは店舗なしで運営する銀行なので、店舗維持費を節約できる分、既存の銀行より預金金利は高く、融資金利は低く、各種手数料も無料もしくはうんと安く設定した。それに今時のサービスらしく、人工知能で個人のネット上の活動やビッグデータ分析から信用度を評価し、一人ひとりに適用する金利を変える独自の信用評価モデルをkakaobank企画段階から開発しているという。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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