コラム

世界最大で最も珍しい「謎」のカットダイヤモンドが競売にかけられる

2022年02月01日(火)11時25分

カーボナードは、ブラジルと中央アフリカ共和国が2大産地です。エニグマの産地は発表されていませんが、どちらかの国で発見された可能性が高いです。

これらの2つの土地は10億年以上前にはつながっていて、ロディニア大陸という超大陸の一部でした。なので、超大陸時代にこの地域に隕石が落下して、隕石内のカーボナードが地表にばらまかれたか、衝突をきっかけに地表にカーボナードが作られて隕石に含まれていた鉱物やガスを取り込んだと考えられています。

サザビーズのジュエリー担当者で、ロンドンのセールス代表のニキータ・ビナーニ氏は「エニグマは宝石以上の存在であり、宇宙の神秘を手に入れるチャンスだ」と宣伝しています。

同社ではカーボナードは過去に1カラット1万ポンド(約150万円)以上で取引されたと言い、このエニグマ・ダイヤモンドの落札予想価格も500万ポンド(約7億5000万円)を超えると予想されています。

サザビーズでのダイヤモンドの最高落札価格は、2015年に記録した4863万4000スイスフラン(約59億5000万円)です。この時にオークションにかけられたのは、最高品質の12.03カラットのブルーダイヤモンドでした。それと比べると、46倍の重さで地球外物質オスボルナイトも含まれているエニグマは、500万ポンドでもお値打ち品かもしれませんね。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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