Maki Shiraki Kentaro Okasaka
[東京 12日 ロイター] - ホンダは12日、2026年3月期の最終損益予想を従来の3000億円の黒字から4200億─6900億円の赤字に下方修正した。北米で生産予定だった電気自動車(EV)3車種の開発・発売中止に伴う損失計上が響く。
今期に営業費用8200億─1兆1200億円、中国などの持ち分法による投資損失1100億ー1500億円を計上する見込み。EV関連損失は最大で今期に1兆3000億円、27年3月期に1兆2000億円の計2兆5000億円となる可能性がある。開発中止に伴う取引先への補償なども含まれる。
今期の営業損益予想も、従来の5500億円の黒字から2700億─5700億円の赤字に転落する。同社によると、通期の最終赤字・営業赤字は1957年の上場以来初となる見込み。
開発・発売を中止するのは「ゼロ」シリーズのスポーツ多目的車(SUV)とサルーン、「アキュラ・RSX」のEV3車種。米トランプ政権が環境規制を緩和し、EV需要が冷え込む事業環境下でこのまま生産・販売するとさらに損失拡大を招く恐れがあると判断した。
三部敏宏社長は会見で、EVの開発中止の背景について、事業成立が困難なまま販売して早期に生産中止となると「ブランド価値が毀損(きそん)する恐れがある」と述べ、「将来に負債を残さないよう断腸の思いで中止を決断した」と話した。
赤字転落を「非常に重く受け止めている」とし、社長と副社長の月額報酬を30%、3カ月分を自主返上する。三部社長は「ガバナンスに問題はない」としつつ、「複数シナリオを持って戦略を修正し切れなかったことは反省すべき課題」と振り返り、「まず止血し、今後の事業競争力の再構築を図り、結果を出すことが最大の責務」として引責辞任を否定した。
一方、三部社長は、米国でのEV需要の減速は続かないと想定し、「長期的な視点で柔軟にEVへの仕込みは続けていく」と語った。「アシモOS」など、ゼロシリーズ車両への搭載を予定していた独自のOS(基本ソフト)はハイブリッド車(HV)で採用する。ゼロシリーズの小型SUV「アルファ」は主にインドや日本向けで一定の事業性が見込めることから計画通り発売する予定で、ゼロシリーズ自体も残す。
ソニーグループとのEV合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ」の事業に関しては「今後の方向性を株主間で協議する」(三部社長)という。
貝原典也副社長は同じ会見で「26年3月期、27年3月期が(収益の)底になるが、これらの一過性の影響を除けば、営業利益は1兆円レベルを保持していると試算される」と説明。「手元のキャッシュは目安としている月商1カ月分を確実に保持」しているとし、配当予想も変更はないと話した。
既存の計画とは別に、米国では20年代後半にかけて新たなHVを追加するほか、新開発の大型HVも計画通り投入する。日本ではスポーツ車や北米生産車などの投入でブランド力を強化し、インドを重点国として需要に即した品ぞろえを拡充する。四輪事業の中長期戦略見直しの詳細は、5月の会見で発表する予定。