コラム

「テレワーク」を生かせる人、生かせない人

2018年06月15日(金)15時45分

しかし、私のような仕事でなくても、テレワークというスタイルを自分の働き方にインストールすると、間違いなく「長時間労働」になります。朝起きてからすぐメールをチェックしたり返信したり、移動している最中も上司や部下と電話で話したり、週末も家で企画書や提案書を書いたりするようになれば、総労働時間が増えるのは当たり前なのです。

同僚やお客様も、早朝や夜遅くにメールが来れば、ついつい返信してしまいます。電話やメール、チャットのやり取りが続けば、「この時間に連絡してもいいのだ」と、相手は思い込んでいくことでしょう。こうなると負のスパイラルに陥っていきます。ますます労働時間が増えていくのです。

もしそれでもよければ、テレワークで生産性を高め、長い労働時間に見合った成果を上げることは可能です。簡単にその秘訣を書くと、3つあります。

1.ネットワークを遮断する
2.携帯電話・スマートフォンの電源を切る
3.キッチンタイマーを使い、20分単位で作業に集中する

自宅やカフェにいても、ネットワークに繋がっていたらしょっちゅう邪魔が入って仕事に集中できません。クリエイティブな仕事をするときは、まずノートなどにアイデアを書いてからパソコンに向かったほうがいいでしょう。

また、1時間や30分といったわかりやすいスパンより、「20分」「45分」といった、中途半端な時間のほうが意識して仕事に集中できます。キッチンタイマーなどを使って、メリハリのある仕事を心がけるといいでしょう。

適度な緊張感が生産性を高める

このようみ自分を律することができない人の場合、テレワークは、一種の「クセ」、惰性になりがちです。いつの間にかそれが「あたりまえ」になっていく。時間はどんどん過ぎていくのに、大した成果は上がらない。テレワークでいちばん危険なのは、これが習慣として身についてしまうことです。

本来であれば1時間で終わる仕事を、なんとなく中途半端に終わらせ、「帰宅してからやればいい」「ホテルでまた続きをするか」「帰りの新幹線で挽回しよう」などと、ついつい思ってしまうものだからです。

こういう人にはテレワークは勧められません。適度な緊張感が生産性を高めるという心理法則を「ヤーキーズ・ドットソンの法則」と言います。労働生産性という視点からみれば、この法則は無視できません。会社員らしい服装をし、決められた時間に、上司や同僚の目の届く場所で働くほうが、圧倒的に生産性は高くなります。

しかしテレワーカーになればその瞬間に、退社時間という、誰もが知っている「締め切り」という概念を手放すことになる。このインパクトは計り知れないほど大きいのです。

長いモノに巻かれる性格の人が多い日本人は、長いモノに巻かれて仕事をしたほうがいいのです。生産性が高くなり、労働時間も減ることでしょう。テレワーク制度を企業に導入することは、もちろん賛成です。しかし、万人向けでないことは確かです。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story