コラム

欧米の腐敗が招いた対アフガニスタン政策の失敗、真摯な反省と関与継続を

2023年03月23日(木)11時50分

アフガニスタンの人々には独自の言い分があり、長期的な視点で、現地との対話と実情にあった地道な支援を継続し、アフガニスタンの人々による自助を、外から支える謙虚な形での関与が必要である。その国を真の意味で豊かに発展させられる人々はその国の人々自身以外には存在しないからだ。

日本は欧米諸国とアフガニスタンとの懸け橋となり得る

そのような文脈に立つと、日本の立ち位置は極めて重要である。G7の中で、唯一、アジアの国である日本は、欧米諸国とは異なった外交スタンスを持ち、2002年と2012年にアフガニスタンに関する国際会議を主導して開催した経緯もあるなど、欧米諸国とアフガニスタンとの懸け橋となり得る存在と言える。何よりも日本は武力でアフガニスタンに侵攻したことは一度もない国でもある。

日本は、これまで、人道支援や文化復興支援、農業支援などの分野でアフガニスタンに寄り添った関与を継続してきた、特に、農業分野では、人生をアフガニスタンの農業発展に捧げた「ペシャワール会」の中村哲医師の地域に根差し、持続可能性を重視した支援が有名であるほか、歴史をさかのぼると、既に1930年代には農業技術者をカンダハールに派遣しており、同分野には長い協力と実績が存在する。アフガニスタン国民の約80%が農村地帯に居住することを踏まえれば、このような地に足のついた支援は、アフガニスタン経済の健全な発展や和平構築に直結していくことになる。

日本独自の手法で関心を持ち続けることが重要

タリバンによる政権奪取以降の1年間で、日本には、アフガニスタンからの脱出した計820人の避難民が入国したほか、100人以上のアフガニスタン人が難民として認定されている。アフガニスタンからの避難民に関する話題はウクライナ問題で霞んでいるようにも思えるが、避難民は日本とアフガニスタンの将来の架け橋となる人材である。同避難民の日本社会での生活を安定させるため、持続的なサポートが求められている。

ウクライナ問題ばかりが注目されがちであるが、日本は、これからも、アフガニスタンを忘れることなく、日本独自の手法で関心を持ち続けることが重要だ。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、イラン最高安保委事務局長のラリジャニ

ビジネス

出光興産、LNG市場本格参入へ英事業会社に出資決定

ワールド

イラン、UAEに新たな攻撃 石油施設が2日連続で標

ワールド

独インフラ基金、目的外流用8割超 追加投資創出に効
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 9
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story