コラム

在日外国人は米に困っていないし、「令和のコメ騒動」に無関心

2025年06月16日(月)12時35分
周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)

「中国人転売ヤーがコメを買い占めている!」は本当か

以前このコラムに書いたように、在日中国人社会では今、中国のSNS「ウィーチャット(微信)」で全ての買い物を済ませるライフスタイルが広がりつつある。だが私の知る限り、野菜や魚を扱う生産者と比べると、外国人と直接契約する米農家は限られており、ウィーチャットで商売をする中国人業者にとっては参入障壁が高い。

だからコメを主食とする南部の中国人もたいていは日本のスーパーやオンラインショップで買っている。「中国人転売ヤーが日本のコメを買い占めている!」と報じられた一件についても、規模は限定的であり、こうした指摘はお門違いだと思う。


韓流で有名な新大久保エリアには最近、南アジア、東南アジアの住人も多く、各国のレストランが出店している。では彼らの反応はというと、同じく「関係ない」という回答が大半だ。

インドやネパールの料理はインディカ米(長粒種)が主流で、そもそも輸入米を使用している店が多い。ベトナム料理は米粉を使ったフォーが有名だが、原料に日本のコメは使ってはいないようだ。そういえば、埼玉県で農家からコメの窃盗を繰り返したベトナム人の「令和のコメ泥棒」がいたが、あれは4~5年前の事件だ。

一方、日本に暮らす外国人とは対照的に、中国国内では日本の「コメ騒動」が大きな話題となっている。

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