コラム

日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先

2025年05月16日(金)11時40分
周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)
東京・上野動物園のパンダ

東京・上野動物園のパンダ。来年2月に返還される予定だ WOORI.88/SHUTTERSTOCK

<世間を騒がせた、アドベンチャーワールドの不可解な「パンダ返還」発表。日本では今も各地で「わが町にパンダを」の動きがあるが、政治の道具であるパンダ、本当に必要ですか?>

パンダはかわいい。でも、なぜこれほどまで人々から愛されるのか、中国人としては不思議でならない。動物園では常にスター、パンダ舎の前には長蛇の列ができる。2023年に東京の上野動物園からシャンシャンが中国に返還されると、シャンシャンに会いに行く中国旅行ツアーまで組まれた。

【動画】2019年に見つかった、世界初の「真っ白な野生のパンダ」

そんな日本で4月下旬、和歌山県白浜町の「アドベンチャーワールド」が、飼育中のパンダ4頭を全て6月末に中国に返還すると発表した。これまで20頭を飼育してきた「日本一のパンダ動物園」だが、あと2カ月でパンダ0頭になる。ゴールデンウイーク直前の驚きのニュース。連休中はパンダファンが詰めかけ、テレビの取材に「東京から別れを言いに来た」と答えている人もいた。


いま日本でアドベンチャーワールドのほかにパンダを飼育しているのは、東京・上野動物園だけ。同園には2021年に生まれたシャオシャオとレイレイがいる。しかし日本生まれのこの2頭も、来年2月に中国に返還される。日本で生まれても「国籍」は中国。パンダは「レンタル動物」なのである。

このままいけば、日本は来年「ゼロパンダ時代」を迎える。でも、別にいいんじゃない?と私は思う。

「パンダ外交」という言葉があるぐらい、パンダはずっと政治の道具にされてきた。日本が今後も中国からパンダ外交され続けることに、私はどうにも賛同しかねる。

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