イスラム国「大復活」はアフリカから...先進国に再びテロの脅威が吹き荒れる?
ISIS Is Waging a Deadly War Across Africa That Threatens US
アフリカがジハードの震源地に?
ナスルは2017年の時点で「アフリカが世界ジハードの震源地になりつつある」と指摘していた。
「(ISの活動を許してきた要因は)国家の機能不全、腐敗、無防備な国境。そして最も深刻な要因は、地元の治安部隊や軍による人権侵害だ」
こうした要因が重なり、サヘル地域に確固たるIS系武装勢力の拠点が築かれた場合、海外への攻撃を仕掛ける準備が整ってしまう可能性がある。
「IS系武装勢力が地中海沿岸のリビアに拠点を築いたとき、(海外をテロの対象にすることに)躊躇は一切なかった」とナスルは述べた。
「アフリカのIS系武装勢力には(海外でテロを引き起こす)意志と野望がある。現時点では手段を持っていないが、その手段を得たなら必ず行動に出るだろう」
アフリカの安全保障について米英政府に助言してきた南フロリダ大学のザカリアス・ピエリ准教授も、ISのアフリカ、特にサヘル地域を中心とした活動での勢いを強調する。
「マリやブルキナファソと交差するサヘル地域は、ジハード主義テロの世界的な震源地となっており、深刻な脅威をもたらし続けている」とピエリは本誌に語った。
「この地域のジハード主義テロは、アルカイダ系(JNIMなど)とIS系(ISサヘル州など)に大別される。
「アルカイダ系はより現実的で、IS系はよりイデオロギー的だ。どちらも非常に危険で、勢力を伸ばすとともに死体を積み上げ続けている」
戦乱状態にあるサヘル地域は、ISがアフリカ大陸に築いた足場の1つに過ぎない。
遠く離れたコンゴでも、同様の動きが展開されている。例えば、1990年代後半にウガンダで設立された民主同盟軍(ADF)が、2018年に中部アフリカのIS 系武装勢力に忠誠を誓っている。
ADFは7月27日にコンゴ東部で発生した約40人が殺害された教会襲撃について、犯行声明を出している。2月にも別の教会で虐殺を行ったとされる。
ナスルによれば、こうした反キリスト教的な攻撃は、かつてADFとして知られていたこの組織が「IS中枢の命令を文字通り忠実に実行している」証拠だという。