最新記事
核兵器

急ピッチで進む中国の核軍備拡大。なぜ核弾頭を増やしているのか?...米ロ中の核軍拡レースが始まった

China Leads World Nuke Buildup

2025年7月1日(火)14時55分
プラフラダ・シン(インド空軍力研究センター研究員)

世界は核軍拡時代に突入

SIPRIの報告書によれば、25年1月時点で世界には1万2241発の核弾頭があり、9614発が運用可能な状態になっている。うち3912発はミサイルか航空機に搭載され、約2100発は数分以内に発射可能な「高度警戒態勢」に置かれている。

これらはほぼ全てアメリカとロシアが保有しており、米ロの保有分が世界の核弾頭数の約9割を占めるという。


今は世界的に核軍拡競争が激化し、核兵器の使用に対する抑制的な姿勢が後退している。アメリカは今後30年間に約1兆7000億ドルを投じて新型核兵器の導入を進める計画で、23〜32年には平均して年間750億ドルを投じることになる。これは物価を考慮しても、マンハッタン計画の2倍を上回る年間コストだ。

ロシアも昨年、核の指針を改定し、通常兵器の攻撃に対しても状況によって核の使用を選択肢に入れることにした。

イギリスも「戦略的防衛評価2025」で新型核兵器の導入に多額の投資をする方針を打ち出している。核弾頭の製造などに150億ポンドを投じ、攻撃型原子力潜水艦も建造する計画だ。

SIPRIは、北朝鮮が保有する核弾頭の数を約50発と推定。さらに40発分の核物質を確保しているとみている。同国の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)総書記は核戦力の「無限大」の強化を公然と掲げている。韓国の当局者は昨年、北朝鮮が戦術核を保有するのは時間の問題だと警告を発した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ議会、スビリデンコ氏を新首相に選出 シュ

ビジネス

米小売売上高、6月+0.6%で予想以上に回復 コア

ワールド

ガザ攻撃で22人死亡 カトリック教会も被害 伊首相

ビジネス

TSMC、第2四半期AI需要で過去最高益 関税を警
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 5
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 6
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 7
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 8
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 9
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 10
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中