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核兵器

急ピッチで進む中国の核軍備拡大。なぜ核弾頭を増やしているのか?...米ロ中の核軍拡レースが始まった

China Leads World Nuke Buildup

2025年7月1日(火)14時55分
プラフラダ・シン(インド空軍力研究センター研究員)

中国は従来、核弾頭をミサイルに搭載せず専用施設に保管していたが、最近では何発かの弾頭を平時にもミサイルに搭載し、運用できる状態にしているようだ。

核使用に関する中国のこの方針転換は戦略的な優先度の変化を反映していると、SIPRIの上級研究員ハンス・クリステンセンは言う。中国はこれまで自衛のための「最小限の抑止」として核を保有すると主張してきたが、いま進めている核戦力の拡大は明らかにその範囲に収まらない。


中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は「世界一流の軍隊」の建設を掲げていて、核軍拡もその一環とみられる。加えて最新鋭のミサイル防衛システムを誇るアメリカに対し、「最小限」の核がどれだけ抑止力を持つか疑わしいという事情もありそうだ。

記者会見でSIPRIの分析について聞かれた中国の林剣(リン・チエン)外務省報道官は、「わが国は今後も核の『先制不使用』の原則を堅持する」と強調。「中国よりもアメリカの大々的な核軍拡のほうが世界にとって脅威となる」と主張した。

中国の一部の軍事専門家は、SIPRIの報告書は「中国の脅威」を誇張する「西側のナラティブ」に影響されていると断じ、そこには中国を核軍縮協議に参加させようという西側の意図が透けて見えると主張している。彼らに言わせれば、中国が軍縮協議に加わらないのは、米ロと比べて自国が保有する核弾頭数があまりにも少ないからだ。

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