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「母親になるべきじゃなかった」と断言する、3人の子を持つ女性。楽になったきっかけは...

2025年2月23日(日)21時10分
印南敦史(作家、書評家)
母親と子供

写真はイメージです ANURAK PONGPATIMET-shutterstock

<日本にも「産んで後悔する」女性がたくさんいる。NHK「クローズアップ現代」で反響を呼び、書籍化。私たちは「悩む親」に思いを馳せてこなかったのではないか>

親との関係に悩んでいるなど「子どもの側」が抱える問題については、なにかと考える機会があった。

しかし『母親になって後悔してる、といえたなら――語りはじめた日本の女性たち』(髙橋歩唯、依田真由美・著、新潮社)というタイトルを目にするまでは、「親の側」について思いを馳せる機会はほとんどなかったかもしれない。

自戒の念を込め、まずはそれを明らかにしておく必要があるだろう。だが考えるまでもなく、「悩む子ども」がいるならば、その対局に「悩む親」がいるのは当然の話。そのため本書に登場する女性たちの思いを知るにつれ、さまざまな思いが脳裏をよぎったのだった。

NHK「クローズアップ現代」から生まれたルポルタージュ。最終的にパートナーとふたりの生活を選んだNHK記者の髙橋氏と、子どもを迎える道を選択したNHKディレクターの依田氏、同世代の女性ふたりによる共著である。

スタートラインになったのは、「子どもを産ま(め)ずに後悔する」ことがあるなら、「産んで後悔する」こともあるのではないかという疑問だったという。その疑問について考えるためのヒントを探しているとき、一冊の本と出会うことになる。


それが、イスラエルの社会学者、オルナ・ドーナト氏が執筆したRegretting Motherhood(リグレッティング・マザーフッド)だった。(中略)「今の知識と経験を踏まえて、過去に戻ることができるとしたら、それでも母になりますか?」という質問に「ノー」と答えたイスラエルの女性23人に行ったインタビューをもとに構成され、「向いていなかった」、「子どものために自分の人生を諦めた」、「次はこの道を選ばない」といった率直な母たちの言葉が記されていた。(「はじめに」より)

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