最新記事

映画

「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する、もう1つの『白雪姫』とは

The Snow White Controversy

2024年05月30日(木)15時45分
ポール・ボンド(カルチャー担当)
ブレット・クーパー

保守系版で白雪姫を演じるクーパー ARAYA DOHENY/GETTY IMAGES FOR DAILYWIRE+

<主役にラテン系俳優を起用し、フェミニズムをうたうディズニー実写版『白雪姫』。これに対抗して右派メディアも独自に映画化を進行中。どちらの『白雪姫』が支持される?>

白雪姫が政治論争の渦中に投げ込まれた。白雪姫を主人公とする実写映画が2本作られたのだが、これが実に対照的なのだ。

昨年10月、保守系メディアのデイリー・ワイヤーは、ディズニーの実写版『白雪姫』に対抗して独自の実写版を公開すると発表。デイリー・ワイヤーの『白雪姫と邪悪な女王』は、同社が運営するファミリー向け動画配信サービス、ベントキーで年内に公開される予定だ。

今年5月には本作で白雪姫を演じるブレット・クーパーが、カナダの心理学者で反フェミニズムの急先鋒でもあるジョーダン・ピーターソンのポッドキャストに出演。謎に包まれた映画について語った。

クーパーはドラマ『ヘザース』などに出演する俳優だが、保守系ポッドキャスト「コメンツ・セクション」の主宰者という顔も併せ持つ。彼女によれば『白雪姫と邪悪な女王』はグリム兄弟の原作を忠実になぞり、忍耐、善悪の戦い、美と虚栄の違いといったテーマに焦点を当てるという。

「ディズニーの実写版があんなふうになると知って、みんなとてもがっかりし、怒っている」と、クーパーは語った。ディズニーが白雪姫役にラテン系の俳優を起用したことなどをめぐる論争を踏まえての発言だ。

公開はデイリー・ワイヤー版が先になるだろう。ディズニーは『白雪姫』の公開を今年3月に予定していたが、映画俳優協会のストを理由に1年延期すると昨年秋に発表した。しかしアンチ派は、延期は炎上の沈静化を図るためではないかとみている。

ディズニー版ではイスラエル出身のガル・ガドットが継母の女王に扮し、スティーブン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』で知られるラテン系のレイチェル・ゼグラーが白雪姫を演じる。

実写版ではフェミニズムの視点から『白雪姫』を語り直すことになるとゼグラーは説明し、右派やオリジナルアニメの熱狂的ファンを怒らせた。2022年9月には業界紙で「今は1937年じゃない。白雪姫は王子様に救われたりしないし、真実の愛を夢見たりもしない」と語った。

同じ時期に開かれたディズニーのイベント「D23エキスポ」では、白雪姫を救う王子をおとしめた。「アニメが公開されたのは1937年で、内容も時代を感じさせる。白雪姫をストーカーみたいにつけ回す男とのロマンスが主軸だなんて、すごく変。実写版はそんなふうにはならない」

どちらのコメントも当時は話題にならなかったが、主要撮影の終了後に撮り直しがあったことが昨年夏に報じられ、難航が噂されると改めて注目を浴びた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ムーディーズ、フランスの見通し「ネガティブ」に修正

ワールド

米国、コロンビア大統領に制裁 麻薬対策せずと非難

ワールド

再送-タイのシリキット王太后が93歳で死去、王室に

ワールド

再送-トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    キャサリン妃の5つの「一軍バッグ」...イギリス製か…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:脳寿命を延ばす20の習慣

特集:脳寿命を延ばす20の習慣

2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ