最新記事

2020米大統領選

米大統領選 ジョージア州3度目の集計でもバイデンの勝利 選管に脅迫「このままでは死人が出る」

Three Vote Counts and Two Certifications Later, Joe Biden Still Won Georgia

2020年12月8日(火)17時03分
アレクサンドラ・ハッツラー

11月7日に勝利を宣言したバイデン Jim Bourg-REUTERS

<不正選挙だったとするトランプの主張のせいで、州当局や選管が支持者から脅迫される事態に>

アメリカの次期大統領ジョー・バイデンが、ジョージア州に割り当てられた16人の選挙人を獲得したことが、再び公式に宣言された。

ジョージア州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官は12月7日、11月3日に行われた大統領選の結果を改めて認定し、バイデンの勝利を公式に認めた。最終的な集計結果では、バイデンがドナルド・トランプ現大統領を1万1779票差で破ったことが示された。

ジョージア州の高官がバイデンの勝利を認定するのは、今回が二度目となる。一度目は、手作業による再集計でバイデンが得票率でトランプを1万2670票リード、得票率で0.25%上回っていると認定された11月20日のこと。

大統領選挙で不正があったと州当局を執拗に攻撃してきたトランプは、再々集計を要請した。再集計結果の差が1%以内であったため、州にはその要請を受け入れる義務があった。

つまり、ジョージア州の票の数え直しは、これで三度目だった。

「三度目でも、結果は変わらなかった」と、ラッフェンスパーガーは7日午前の記者会見で述べた。

「そろそろ全員が、未来と発展に注力すべき時だ。今回の選挙に問題があったと信じる人たちがいるのは承知しているが、そうではないことを、証拠が----確かな証拠、事実が示している」

ラッフェンスパーガーは最初の再集計の際、すべての票の数え直しを指示していた。結果に対する「信頼を得るのに役立つ」と思ってのことだ。この時も、バイデン勝利という当初の結果が裏付けられた。

このままでは誰かが殺される

ジョージア州当局は共和党員も含めて大統領選挙は公正に行われたと認めている。しかしトランプとその支持者は依然として、選挙は不正まみれだったという根拠のない主張を拡散している。トランプは、手作業による集計を「ジョーク」と表現し、ジョージア州の集計結果に異議を申し立てる複数の訴訟を起こしている。

トランプが根拠なく不正を言い立てる中、選管職員たちは脅迫を受けたと報じられている。12月1日には、ジョージア州当局者が選挙後のトランプ陣営による危険な行動を厳しく非難した。

「こんなことはやめなければならない」。ジョージア州の投票管理責任者で共和党員でもあるガブリエル・スターリングは記者会見でこう言い、暴力行為を非難するようトランプに求めた。

「誰かが傷つけられ、誰かが撃たれ、誰かが殺されることになる」とスターリングは続けた。「そんなことは間違っている」

ラッフェンスパーガーは、スターリングの発言を支持。ジョージア州当局がトランプ陣営に対して、「敗北したことが明らかである州で勝利を主張し続けることから生じている、暴力的な言論を抑止する」よう要請したあとも、トランプは攻撃を続けていると記者たちに語った。

前副大統領のバイデンは、1992年のビル・クリントン以来、初めてジョージア州で勝利した民主党候補となった。

(翻訳:ガリレオ)


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB利下げ、年内3回の公算大 堅調な成長で=ギリ

ワールド

米・サウジ、安全保障協定で近く合意か イスラエル関

ワールド

フィリピン船や乗組員に被害及ぼす行動は「無責任」、

ワールド

米大学の反戦デモ、強制排除続く UCLAで200人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中