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日本の少子化の根本要因は「少母化」──既婚女性の子どもの数は実は減っていない

2020年1月15日(水)17時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

既婚女性の子どもの数の中央値を見ると、この30年で増えている地域もある maroke/iStock.

<世帯あたりの子どもの数では、この30年でそれ程大きな変化は見られない>

2019年の日本の出生数は予測を大きく下回る86万4000人だった。2018年は91万8000人だったから、前年より6万人減ったことになる。

少子化に加えて高齢化で亡くなる人も増えるので、人口の減少は加速度的に進む。2020年代以降毎年50万人、2040年代以降は毎年100万人規模で人口が減っていく。20年代以降は1日あたり1370人、40年代以降は毎日2740人がいなくなる計算だ......「静かなる有事」と言っていい。

少子化の要因は、①結婚する女性が減っていること(未婚化)と、②既婚女性が産む子どもが減っていること(少産化)、という2つのフェーズに分けられる。どちらも進んでいると思われているが、実は②についてはそうではない。

『国勢調査』に、既婚女性が同居している児童数(20歳未満)の分布が分かる統計表がある。25~44歳の既婚女性を取り出し、同居している児童数(子ども数)の分布を、1985年と2015年で比べると<表1>のようになる。

data200115-chart01.jpg

どちらの年も、子どもが2人という母親が最も多くなっている。1985年では全体の40.4%、2015年では37.4%を占める。右欄の構成比をみると、30年間で大きな変化はない。既婚女性の子ども数(結婚した女性が産む子ども数)はほとんど変わっていないようだ。

変わったのは母親の絶対数だ。左欄の人数の合計を見ると、1985年では1595万人だったのが2015年では1001万人と、およそ3分の2に減っている。昔にくらべて出産年齢の若い女性が減り、未婚率も上昇しているのだから当然だ。ソロ社会研究者の荒川和久氏は、少子化ではなく「少母化」が問題だと指摘している。

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