最新記事

アメリカ政治

米民主党が勢い回復か、州議会選で巻き返し 11月ワシントンに注力

2017年10月14日(土)13時19分

 10月12日、昨年の米大統領選の敗北を受けて党勢の立て直しを急ぐ米民主党が、このところ州議会の補欠選挙で相次いで勝利を収めている。写真はワシントンの米連邦議会議事堂。2013年3月撮影(2017年 ロイター/Gary Cameron)

昨年の米大統領選の敗北を受けて党勢の立て直しを急ぐ米民主党が、このところ州議会の補欠選挙で相次いで勝利を収めている。こうした場がトランプ大統領の保守的なアジェンダに抵抗する新世代の候補者や活動家を試す機会となっている。

ニューハンプシャー州からオクラホマ州に至る州議会の補欠選で、民主党は、共和党議員が保有していた8つの議席を奪った。いずれも、ローカルな問題が争点となった投票率の低い選挙に、数百万ドルの選挙資金を投じた結果だ。これらの勝利は、トランプ氏に敗北し、自身の議席数が歴史的な低水準に落ち込んだ民主党が、いかに逆襲を願っているかを示している。

とはいえ、連邦議会における数千の議席を争う2018年の中間選挙まで、民主党がこの勢いを維持するのは簡単ではない、とロイターの取材に応じた約20人の民主党指導者や政治の専門家は語る。

「われわれは有能な候補者を十分に集め、時代に合った選挙戦を展開することができるだろうか」。民主党政治ストラテジストのサイモン・ローゼンバーグ氏はこう自問する。

民主党は将来の指導者をリアルタイムで試さなくてはならない状況だと同氏は指摘。「準備はできているのか。その答えは、まだ分からない、だ」

11月には、民主党は初期段階の示唆を得る。

最重要の試金石とみられているのは11月7日に行われるワシントン州議会の補欠選挙だ。ここでは、民主党の新人女性候補マンカ・ディングラ氏がシアトル郊外の選挙区で議席を狙う。勝利すれば、民主党は州議会を完全に掌握できる。

検察官で学校関係のボランティア活動にも力を入れるディングラ氏は、シーク教徒のインド系米国人。昨年の大統領選で、ビジネスマンのトランプ氏がベテラン政治家のヒラリー・クリントン氏を破ったサプライズが、政治に目覚めるきっかけとなった。

だがディングラ氏は、態度を決めていない有権者を前にした選挙演説では、大統領について触れないようにしている。

「トランプ氏に対するリアクションは、ボランティアを活性化させることで起きる。傍観者ではいられないと、私のように行動を起こした人がたくさんいる」

選挙ボランティアを申し出た人は、彼女のサイトを通じた申し込みだけで2000人近くとなり、民主党が言うところの「前代未聞の議会選挙への関心」を証明する形となった。

ディングラ氏が共和党のライバル候補に10ポイントの差をつけた8月の予備選は、投票率が比較的高くなり、普段予備選では投票しないという有権者6000人も投票した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シンガポール航空機、乱気流で緊急着陸 乗客1人死亡

ビジネス

アストラゼネカ、30年までに売上高800億ドル 2

ビジネス

正のインフレ率での賃金・物価上昇、政策余地広がる=

ビジネス

IMF、英国の総選挙前減税に警鐘 成長予想は引き上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル写真」が拡散、高校生ばなれした「美しさ」だと話題に

  • 4

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 5

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の…

  • 6

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 7

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 8

    中国・ロシアのスパイとして法廷に立つ「愛国者」──…

  • 9

    「韓国は詐欺大国」の事情とは

  • 10

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中