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シリア

ISISが「新首都」で化学兵器エキスパート部隊を創設

2017年5月19日(金)14時45分
ジャック・ムーア

ISISから奪還したラッカの前衛基地アル・タブカ Rodi Said-REUTERS

<劣勢のISISはラッカから資産を移している。行き先とみられる国境地帯には、新たな化学兵器製造の動きがあり、最高指導者の潜伏先とも一致する>

イラクとシリアで劣勢にあるテロ組織ISIS(自称イスラム国)がエリート化学兵器部隊を組織しようと、両国の国境地帯に化学兵器の専門家を集めている。

米政府関係者がCNNに語ったところによると、同部隊は、イラクとシリアのISISの集団でもトップレベルの専門家で構成されている。

シリア北部のラッカでは、有志連合の空爆支援を受けたクルド人主導の民兵組織が、地上で奪還作戦を行っている。ISISはずっと、ラッカを自らの「カリフ国」の首都と称してきた。だがアメリカの情報機関では、その見方が変わっているという。

【参考記事】ISISの最大拠点モスル、米軍の空爆で民間人の犠牲増?

最高指導者の潜伏先と合致

有志連合など外部からの圧力を受けて、ISISは資産をラッカから、ユーフラテス川流域のシリアのマヤディンとイラクのアンバール県カイムの間に移している。米政府当局者によれば、この国境地帯が今は事実上のISISの首都になっていると考えられ、数千人の武装勢力が潜伏している可能性があるという。

この場所は、最重要テロリストとして行方を追われるISIS最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディが潜伏している可能性が高い地域と一致する。

【参考記事】7年目を迎えるシリア内戦:ますます混迷を深める諸外国の干渉

それでもラッカは、ISISが2014年にここでカリフ制イスラム国家の樹立を宣言して以来の要衝であることに変わりがない。ISISは、狙撃手や仕掛け爆弾、自爆テロなどで必死の抵抗をしている。だが、攻め込む側にとって一番危険なのは化学兵器だ。

昨年11月、防衛・安全保障の分析会社IHSジェーンズは、ISISは2014年1月以降で少なくとも52回、化学兵器を使用したと報告。このうち19回はイラクのモスルだった。

有志連合は、引き続きISISの化学兵器や製造設備の破壊に力を注ぐ。昨年9月、米国防総省はISISの化学兵器製造施設とみられるイラク北部の建物を破壊した。

【参考記事】ISISの終わりが見えた

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