最新記事

英EU離脱

イギリスEU離脱に現実味、ちらつく為替協調介入の影

2016年6月18日(土)10時36分

 6月16日、EU離脱の是非を問う英国民投票が来週に迫るなか、離脱が決まり為替相場が急変動した場合、中銀の協調介入はあるのか。市場ではさまざまな憶測が広がっている。写真は15日、ロンドンで英国国旗がデザインされた風船と国会議事堂のビッグベン時計台(2016年 ロイター/Peter Nicholls)

 欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票が来週23日に迫ってきた。こうした中でブレグジット(英国のEU離脱)が決まって為替相場が急変動した場合に、主要中央銀行が果たしてどう行動するのか、協調介入まで実施するのかを巡り、市場ではさまざまな憶測が広がっている。

 主要中銀による協調介入は5年前、東日本大震災直後の円急騰を抑える目的で行ったのが最後だ。変動相場制においてこうした協調介入は極めて異例であり、今のところ英国民投票に関して各国中銀は必要なら金融機関に十分な流動性を供給するという約束のみにとどめている。

 それでも今週のスイスや日本の当局者発言、中銀の政策会合の声明内容、さらに英国でEU離脱派の勢いが増している事態を踏まえると、政策担当者はもっと踏み込んだ協調行動が求められるのかどうかを検討している様子がうかがえる。

 コメルツ銀行の通貨ストラテジスト、Antje Praefcke氏は「(ブレグジットが現実化すれば)外為市場では相場が乱高下し、流動性が乏しくなってポンドは急落しかねない。これは先進国中銀による協調介入を促す可能性がある」と指摘した。

 スイス国立銀行(中央銀行)はブレグジットが決定してスイスフランが高騰すれば積極的に対応すると表明。ジョルダン総裁は中銀間で市場動向について緊密な意見交換を行っていると付け加えた。

 日本でも日銀が16日、金融政策の現状維持を決めて円高がさらに進んだことを受け、菅義偉官房長官が必要なら対応する考えを示した。

 ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、後藤祐二郎氏は「スイス中銀と恐らく日銀も、介入して自国通貨の相場を押し下げたいと思っている。特にスイス中銀は、為替介入が通貨高抑制のためにいの一番に用いる手段であることはかなりはっきりしている」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG

ワールド

米上院議員、イスラエルの国際法順守「疑問」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中