最新記事

座談会

「独立から起業へ」飛躍するために必要なこと

2016年2月29日(月)11時11分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

zadankai160229-2.jpg

「全然寝ないし、家にも帰らないし、プライベートのときもずっと考えている。ライフワークだと思っているから、つらくない」(左:中澤優子氏、手に持っているのはUPQのLEDライト「Q-gadget LT01」)、「フリーランスとして独立するハードルがものすごく低くなっている。ただ、そこから新しいサービスを作るとか、メーカーを立ち上げるといったことは、もう一歩進んだ飛躍」(右:長沼博之氏)

加谷 確かに、経営や起業について大学でちゃんと勉強して、MBAを目指しているような人にとって、いきなりプロダクトを作るなんて話は、かなりすごいことだと思います。おふたりは結構シームレスに進んできているように見えますが、実際にはそんなことはないですよね?

中澤 私の場合は、カフェの資金も退職金だったし、すべて自己資金スタートです。そのへんは古い体質で、負債を抱えてモノづくりするのが嫌で、通期で赤字になるのも絶対に嫌なんですよ。だから、赤字にならないようにやればいい、できないことはやらないって決めています。

 基本的に、なんにもわかっていない状態で始めていて、カフェも、やろうと決めてから「営業許可ってどうやって取るんだろう?」とか「食品衛生法ってなに?」とか、そんな状態です。わからないからいろいろ調べて、そこで調べ方すらも学んでいく。なにか課題があったら、それを最短で解決する方法に知恵を絞っていく、という感じです。

 実体験を通して学んで、いろいろ工夫して解決策を考えていくのが面白いんです。特にUPQは、いまこの瞬間だれもやっていないことをやっているんだなと感じることが多々あるので、だれかがやったことを学んでも応用できないことのほうが多いと思っています。それに、どうやったらできるんだろう?って考えていくことが楽しい。だから、いつも「答えは言わないで!」って感じですね(笑)。

【参考記事】「解決策を100個考えなさい」とティナ・シーリグは言った

 気楽そうに聞こえるかもしれませんが、実際には相当なスピードで走っているので、全然寝ないし、家にも帰らないし、プライベートのときもずっと考えているし......でも、仕事だと思っていません。ライフワークだと思っているから、つらくない。それって実は、カシオ時代も同じなんです。だから、私にとってはなにも変わっていない感覚です。

 僕は、起業っていうのはもっとカジュアルにしてもいいと思っています。

 日本はこの20年くらいGDPがまったく上がっていませんが、アメリカは2.5倍くらいになっています。同じ先進国でこの差が出るのは、起業した人数の差じゃないかと思っているんです。だから、起業を重く考えずに、リスクととらえずに、もっと軽くやってほしいと思っています。

 動かないと経験できない。動いて失敗しても、その経験が次につながって、新しいことやより多くのことができるようになるんです。

 いまの日本は、たとえばコンビニで時給1000円のアルバイトをしているだけでも、とりあえず死なないじゃないですか。それって、ものすごく恵まれた環境だから、独立するリスクは少ないと思うんです。

就職して人生のスト―リーを与えられる時代は終わった

加谷 森さんは一見、突っ走ってきたように見えるけど、実はフリマアプリ「メルカリ」の立ち上げに携わっていたりと、体系的に進んできていますよね。その経験を踏まえて、これから起業したいと思う人は、どういう勉強や経験を積めばいいと思いますか?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中