ECB追加利下げに時間的猶予、7月据え置き「妥当」=エストニア中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのミュラー・エストニア中銀総裁は1日、金利変更を検討する前にしばらく時間的な余裕があるとし、現在の利下げサイクルでさらに大幅な金融緩和をすべきかどうかは現時点では判断できないとの見解を示した。2023年3月撮影(2025年 ロイター/Heiko Becker)
[シントラ (ポルトガル) 1日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのミュラー・エストニア中銀総裁は1日、金利変更を検討する前にしばらく時間的な余裕があるとし、現在の利下げサイクルでさらに大幅な金融緩和をすべきかどうかは現時点では判断できないとの見解を示した。
7月会合で金利据え置くことは「妥当だ」とも述べた。ポルトガルのシントラで始まった国際金融会議「ECBフォーラム」に参加し、ロイターに明らかにした。
ユーロの急激な上昇が輸出企業の収益を圧迫する可能性があるものの、懸念する水準には至っていないとの見方を示した。1日の取引では1ユーロ=1.18ドルをやや上回り、2021年秋以来のユーロ高の水準を付けた。
ECBは24年6月以降、預金金利を合計2%ポイント引き下げた。25年7月会合では金利据え置きを示唆している。市場は年内の利下げは1回のみと見込んでいる。
ミュラー氏は「秋に関して話すのは時期尚早だが、ユーロ圏の経済が予想より大幅に悪化しない限り、現在のサイクルでの大幅な金利引き下げは避けるべきとも考えられる」と述べた。
インフレ率はECBの2%目標におおむね達する一方、経済は回復しているため、ECBには時間をかける余裕がある。ただ米国との貿易交渉のほか、ドイツの国防費などの拡大が見込まれており、経済の動向を慎重に見極めていくとみられる。