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ルワンダ

「英雄」カガメ大統領が逆虐殺に関与?

国連のリーク文書で浮上したツチ人によるフツ人の虐殺疑惑

2010年9月2日(木)15時08分
ラビ・ソマイヤ

 8月9日のルワンダ大統領選では、現職のカガメが93%という得票率で再選された。カガメは、多数派のフツ人が少数派のツチ人を100万人近く殺害した94年のルワンダ大虐殺で傷ついた国に平和と発展をもたらした人物として高く評価されている。ツチ人出身のカガメの下、ルワンダは安全な国になり、アフリカ有数の汚職の少ない国と見なされている。その結果、国の再建に必要な何億謖もの国際援助も獲得している。

 一方で、今回の大統領選ではジャーナリストや野党政治家の投獄、殺害などの事件も報じられた。さらに先週リークされた国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)の未発表報告書で、ルワンダ軍が90年代後半にジェノサイド(大量殺戮)を行った疑いが浮上した。

 仏ルモンド紙が入手した報告書によれば、94年とは逆にツチ人部隊がフツ人部隊を追ってザイール(現コンゴ民主共和国)に侵攻した96年、ルワンダ兵らは何百人もの男女や子供を集めてくわやおので虐殺したり、フツ人難民を焼き殺したりしたという。

 ルワンダ政府はこの疑惑を否定し、報告書が公表されればスーダンのダルフールでの平和維持活動から撤退すると脅しをかけているという。ルワンダの平和には、まだ不安定な要素がありそうだ。

[2010年9月 8日号掲載]

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