最新記事

教育

学校は週4日制でいい?

2015年6月16日(火)11時27分
マデリーン・カミングス

 主に低所得層が住む地域では反発も起きている。ケンタッキー州では、テストの点数が下がったのを機に週4日制をやめた貧しい地区がいくつもある。金曜に学校に行っていれば食べられるはずの昼食を、子供たちが抜いていることに対する心配も広がっていた。

 ミネソタ州の教育委員会は、低所得層の子供の成績が落ちている場合は、週5日制に戻すよう勧告した。

 アイダホ州カウンシルでは、保護者や市当局の判断で、週4日制を2年間試した後に5日制に戻した。同市では、ほとんどの生徒が無料または割引の昼食を学校で提供されている。午後の遅い時間の授業になると、生徒らのやる気や集中力が低下することも問題になっていた。

 週4日制が功を奏すかどうかのカギを握るのは、「5日目」の使い方にあるようだ。セージで、無料または割引の昼食を食べている生徒はわずか20%。休みの日には、わが子を音楽のレッスンなどお稽古事に通わせる余裕のある家庭が多い。一方、余裕がない家庭の生徒は金曜も登校して個人指導を受けられるようになっている。だから成績が落ちることはない。

 3連休にしないことで、子供の頭を休ませ過ぎないようにする手もある。例えば、オレゴン州のある学区は金曜ではなく水曜を休みにした。教師は火曜に宿題を出し、木曜に持ってこさせる。これで生徒は水曜も「勉強モード」を維持できる。

 教師や生徒、保護者からの好意的な意見や、学力に支障は出ないとの調査結果が根拠となり、週5日制に戻そうとする学区はほとんどない。だが週4日制の人気の高まりと同時に、専門家らの警鐘を鳴らす声も高まっている。いつの日か誰も気付かぬうちに、子供の学力が大きく落ちてしまうのではないか。そうなってからでは手遅れだ、と。

© 2015 The Slate Group Distributed by The New York Times Syndicate

[2015年6月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、4月は49.4 1年4カ

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想下回る 賃金伸び鈍化

ワールド

欧州委、中国EV3社に情報提供不十分と警告 反補助

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中