最新記事

スター

ゴールデングローブ賞授賞式9つの裏話

M・ストリープの「名優ぶり」から出演者が経験した「アバター効果」まで、ニュースには出ないスターたちのエピソード

2010年1月21日(木)18時15分
ラミン・セトゥデ(エンターテインメント担当)

セレブの社交場 『マイレージ、マイライフ』で主演男優賞にノミネートされていたクルーニー。その意外な得意技とは?(左は女優で恋人のエリザベッタ・カナリス) Mario Anzuoni-Reuters

 1月17日に開かれたゴールデングローブ賞の授賞式を、私はレッドカーペットに面したガラス窓越しに見た。このイベントをおしゃれに彩ったのは、雨のなか、セレブたちにさしかけられたたくさんの赤と白の傘だった。

 テイラー・ロートナーのように濡れずにすんだスターもいたが、ハリソン・フォードやサンドラ・ブロックはそれほど運に恵まれていなかったようだ。ロバート・ダウニーJr.に至っては、シャーロック・ホームズのトレンチコートもかくやというぐらいずぶぬれだった。

 長年の間にゴールデングローブ賞の授賞式は世界トップクラスの有名人が集うパーティーと化している。セレブたちが「受賞おめでとう」とか言い合いながら酒を飲む社交の場だ。

『アラバマ物語』の作者のハーパー・リーまで来ていた――いや、あれは以前、リーの役を演じたブロックだったのかも。

 だが例年の盛り上がり方に比べれば、今年は比較的おとなしかった。司会を務めたのが口の悪いコメディ俳優のリッキー・ジャーベイスで、『ハングオーバー』がコメディ部門で作品賞を取るというサプライズがあった割には。

 ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』はドラマ部門の作品賞を受賞して、アカデミー賞の最有力候補に躍り出た。

 ドラマ部門の主演男優賞を手にしたジェフ・ブリッジス(『クレージー・ハート』、同じく主演女優賞のブロック(『しあわせの隠れ場所』)、助演女優賞のモニーク(『プレシャス』)、助演男優賞のクリストフ・バルツ(『イングロリアス・バスターズ』)も同様だ。

 では、ニュースには出てこない舞台裏の話をいくつかご紹介しよう。

タイガーの不倫話はご法度?

1)メリル・ストリープに「どうやっていろんな訛りをマスターするのか」と聞く人は多い。だがストリープの役作りは訛りを覚えるだけで片付くような単純なものではないから、彼女はずっと前からこの手の質問にうんざりしている。

 この日もストリープが『ジュリー&ジュリア』でドラマ部門の主演女優賞を受賞したあとに受けた最初の質問は、訛りをマスターするために自宅の鏡の前でせっせと練習するのか? というものだった。

 ストリープは大きく息をつき、こう言った。「そういう風には考えていません。キャラクターの話し方について心のなかにイメージがあるので、それを確かめてみるんです」

 ちなみに確認の方法は、他の人々が話しているのをこっそり聞くというものだそうだ。こんな質問に怒った様子も見せなかったストリープはまさに名優だ。

2)迷子になった時に頼りになるのはジョージ・クルーニー。テレビのドラマ部門で主演女優賞を受賞したジュリアナ・マルグリース(『グッド・ワイフ』)は名前を呼ばれたとき、自分の席から舞台までなかなかたどり着くことができなかった。

「ほんとうに焦ったわ。そのとき、このよく知ってる顔が見えたの」。それは『ER緊急救命室』で共演したクルーニーの顔。マルグリースはクルーニーの頬にキスして言った。「すごくほっとしたわ」

3)サンドラ・ブロックさん、ゴールデングローブ初受賞の感想は?「ドレス、透けてないわよね?」 
 こう聞き返すブロックは、彼女が映画で演じてきた数々のキャラクターそのものといった感じだった。「ねえ(透けてたら)教えてくれるでしょ?」

4)タイガー・ウッズの話題を振られると、ハリウッドの人々は神経を尖らせる。『ビッグ・ラブ』でテレビ部門の助演女優賞を受賞したクロエ・セビニーはノーコメントだった。

 マーティン・スコセッシ監督(セシル・B・デミル賞を受賞)はタイガーの伝記映画を撮ろうと思ったことはないかと聞かれ、謎めいた返事をした。「あれは普遍的な物語だ。歴史上の多くの人にあてはまるだろう。人間であること、それが物語だということだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米4月中古住宅販売、前月比1.9%減の414万戸 

ビジネス

英アングロ・アメリカン、BHPの3度目の買収案拒否

ビジネス

G7、中国の過剰生産能力問題で団結する必要=仏財務

ビジネス

米消費者保護局、後払い決済業者にクレジットカード規
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結果を発表

  • 2

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の大群、キャンパーが撮影した「トラウマ映像」にネット戦慄

  • 3

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新幹線も参入

  • 4

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 5

    魔法の薬の「実験体」にされた子供たち...今も解決し…

  • 6

    「テヘランの虐殺者」ライシ大統領の死を祝い、命を…

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    イスラエルはハマスの罠にはまった...「3つの圧力」…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中