最新記事

海外ドラマ

スターとトイレと撮影現場

2009年4月7日(火)16時49分
マーク・パイザー(テレビ担当)

 一方、『LOST』の俳優ドミニク・モナハンのトレーラーは破滅的だった。唯一の装飾品は高さ1メートル近いファンレターの山。自分の人気を誇示したかったのか、それともただの収集魔なのか。ものすごい光景だったのは確かだ。

 共演女優のエバンジェリン・リリーはトレーラーに呼んでもくれず、撮影の合間にビーチでインタビューしなければならなかった。しかし有名であることはどんなに大変か、カナダの実家がどんなに恋しいかを話す彼女はとても優しかった。愛読書の自己啓発本まで私にすすめてくれた。

 撮影現場で取材を受けたがらない俳優もいる。女優のレイチェル・グリフィスは『シックス・フィート・キアンダー』のセットにうんざりしていた。なにしろ、俳優は14時間トレーラーで過ごす日もある。そこで彼女は、真っ昼間から私たちをお気に入りのバーに連れ出した。酒は飲まなかったが、彼女は驚くほどリラックスしていてオープンだった。みんなで連れ立って部屋の奥のビリヤード台を見にいったりもした。

セットという生活空間

 自宅に招待してくれる俳優もいた。『CSI:マイアミ』の俳優デービッド・カルーソが一例だ。撮影現場で面白かったのは、カルーソがサングラスを決してはずそうとしなかったこと。彼はとてもまじめで、撮影中でなくてもタフな役柄を崩したがらなかった。仕事の最中にインタビューされることすら嫌がった。

 だが、自宅でのカルーソはこれ以上ないくらいのナイスガイだった。自分のキャリアや、ビーチを見渡す自宅での暮らしについて彼は私に語ってくれた。リビングの壁はガラス張りで、大きくて長いソファがあった。

 こんな具合にタイプはさまざまだが、一般的に俳優はセットという生活空間でリラックスする。セットに招かれるということは、彼らの自宅に招かれるようなものだ。

『スタジオ60オン・ザ・サンセット・ストリップ』に出演したマシュー・ペリーとブラッドリー・ウィットフォード(『ザ・ホワイトハウス』にも出演)は、私を絶えずジョークのネタにし、私のメモ帳を隠したり、飲み水を盗んだりと、いつもいたずらを仕掛けてきた。ウィットフォードは私をおだてて、あるシーンにエキストラ役で出演させようとしたほどだ。

 面白い考えだったが、いや待てよ、と思い直した。撮影となれば、ワンシーンを撮るのに何時間も立ちっぱなしかもしれない。もしトイレに行きたくなったら......。

[2008年12月17日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送ロシア、NATO核配備巡る発言批判 「緊張拡大

ワールド

中国のEU産豚肉調査、欧州委「懸念せず」 スペイン

ビジネス

米バークシャー、中国BYD株を再び売却 3980万

ビジネス

ECB、市場の円滑な機能注視=独仏利回り差拡大でラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サウジの矜持
特集:サウジの矜持
2024年6月25日号(6/18発売)

脱石油を目指す中東の雄サウジアラビア。米中ロを手玉に取る王国が描く「次の世界」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は「爆発と強さ」に要警戒

  • 2

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆発...死者60人以上の攻撃「映像」ウクライナ公開

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    中国「浮かぶ原子炉」が南シナ海で波紋を呼ぶ...中国…

  • 5

    水上スキーに巨大サメが繰り返し「体当たり」の恐怖…

  • 6

    なぜ日本語は漢字を捨てなかったのか?...『万葉集』…

  • 7

    中国経済がはまる「日本型デフレ」の泥沼...消費心理…

  • 8

    ジョージアはロシアに飲み込まれるのか

  • 9

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 10

    長距離ドローンがロシア奥深くに「退避」していたSU-…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 7

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 8

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 10

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 8

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中