最新記事
ウクライナ情勢

長距離ドローンがロシア奥深くに「退避」していたSU-57ステルス戦闘機2機を損傷、とウクライナ

Drone strike may have damaged 2 of Russia's most advanced combat jets—Kyiv

2024年6月11日(火)18時19分
エリー・クック
ロシア西部ジュコフスキーで行われた航空ショーでアクロバット飛行を見せるSU-57

ロシア西部ジュコフスキーで行われた航空ショーでアクロバット飛行を見せるSU-57(2021年7月25日)   Photo by Mihail Siergiejevicz / SOPA Imag/Sipa USA

<前線から約590キロ離れたロシア領内の飛行場に駐機していた最先端戦闘機を損傷。本当なら、ウクライナ長距離ドローンの最大の成果だと専門家>

ウクライナ戦争の前線から遠く離れたロシア軍の飛行場がウクライナの長距離ドローンによる攻撃を受け、ロシア軍の最新鋭ステルス戦闘機2機が損傷を受けた可能性がある。ウクライナ側は、ロシア軍のSu-57ステルス戦闘機に対する攻撃が初めて成功させた、と主張している。

【動画】トップガン・マーヴェリックとSU-57のドッグファイト、ほか

ウクライナ国防省情報総局(GUR)は6月9日、ロシア南部アストラハン州にあるアフトゥビンスク飛行場に対する攻撃を行い、ロシア軍のS-57戦闘機を損傷させたと述べた。同飛行場はウクライナ東部の前線から約590キロメートル離れている。

 

GURのアンドリー・ユーソフ報道官は、攻撃によりSu-57戦闘機2機が損傷を受けた可能性があるという「暫定的な情報」が入っていると述べた。

ロシア軍は第5世代ジェット戦闘機のSu-57をウクライナの前線から遠く離れたところに駐機させてきた。米軍が保有するステルス戦闘機F-22ラプターと比較されることが多い最新鋭の高価な軍事資産を危険にさらさないようにするためだ。

ロシア軍は現在、数機のSu-57を保有しており、さらに今後数年間で70機以上が軍に納入される予定だ。

貴重なSu-57の任務は限定的

ウクライナ空軍のイリヤ・イェウラシュ報道官は4月下旬に、ロシア軍はSu-57を一部の任務に使用しているが、ウクライナの防空システムの射程からは遠く離れた場所での任務に限定しようとしていると述べた。

イギリス政府は2023年初頭、ロシアがSu-57戦闘機(NATOでは通称フェロンと呼ばれている)をウクライナへの攻撃に使用していると報告。ただしロシア領内から長距離ミサイルを発射する任務に限定していると指摘した。

ロシアの著名軍事ブロガー「Fighterbomber」は9日、ウクライナ軍のドローンがアフトゥビンスク飛行場を攻撃し、Su-57戦闘機が「破片で損傷を受けた」と述べた。損傷を受けたSu-57戦闘機が修理可能な状態かどうかは分かっていない。

英シンクタンク「王立統合軍事研究所(RUSI)」のジャスティン・ブロンク上級研究員は、もしもSu-57戦闘機が大きな損傷を受けている場合、ウクライナ軍の自爆型ドローンにとって「注目すべき成功の一つ」になるだろうと指摘。Su-57のような最新鋭戦闘機の修理には、より多くの時間と費用がかかるだろうとつけ加えた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エアバス、受注数で6年ぶりボーイング下回る可能性=

ワールド

EU、27年までのロシア産ガス輸入全面停止へ前進 

ワールド

アングル:中東ファンドがワーナー買収に異例の相乗り

ワールド

タイ・カンボジア紛争、トランプ氏が停戦復活へ電話す
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的、と元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡…
  • 5
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中