最新記事

キャリアアップ特集

新生TOEICで試される、英語コミュニケーションの実力

2017年5月15日(月)15時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

toeic170515-pic02.jpg

「改訂後も平均スコアはほとんど変わっていない」と話すIIBCの山下常務理事

グローバル化に伴って増加し続ける受験者数

出題形式の変更は全体の25~30%くらい。リスニングとリーディングを合わせて、2時間で200問に答える形式や10~990点というスコアの採点方式も変わらない。また、基本的な難易度は変わっておらず、例えば企業で管理職の昇進に関する基準の点数を設けている場合、その基準を変える必要もないという。

「ただし、昨年5月に行った受験者へのアンケートでは、"難しくなった"または"やや難しくなった"と答えた人が約70%。ところが、スコアは変わったかという問いに対して、"変わっていない"または"ほとんど変わっていない"と答えた人が約70%いた。実際に平均スコアは、改訂前が578点で改定後は572点だった」と、山下氏は説明している。

1979年以来、TOEIC L&Rの受験者数は増加しており、2016年度の受験者数は約250万人。中でも日本企業の英語の社内公用語化が話題になった2010年の翌年には飛躍的に増加した。実際に社会のグローバル化が進展していく中で、2011年から2016年にかけてはより多くの人たちが受験するようになった。

また、2007年からは英語を話したり書いたりすることで、発信する能力を測るTOEIC Speaking & Writing Testsが実施され、こちらの受験者数も毎年増え続けている。英語力を身につけなければいけない環境に置かれている人が、以前よりも増えていることを意味している。

「英語でのしっかりした読み書きや会話ができる人の数は相当増えているはず。ただし、それ以上に新たに英語を学習する人が増えているため、この30年間の平均スコアはあまり変わっていない」と、山下氏は分析する。

【参考記事】オンライン英会話のレアジョブが進める、従来型スクールとのサービス融合

かつての日本企業では、英語力を必要とする人たちは限られていたが、今は経理部門などの英語と関わりのなさそうな部署であっても、海外子会社の経理部門と英語でやり取りをする時代。さまざまな人たちが、英語力の必要性を感じていることが、受験者数の増加に繋がっている。

TOEIC L&Rには個人で受験する公開テストと、企業や学校などの団体で随時実施される団体特別受験制度(以下、IPテスト)がある。昨年改訂されたのは公開テストで、今年4月にはIPテストの出題形式も改訂されたことで足並みがそろった。英語のコミュニケーション能力をより正確に測れるテストになったことで、日本人の本当の意味での英語力向上に繋がることが期待されている。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、エヌビディアが独禁法違反と指摘 調査継続

ワールド

トルコ裁判所、最大野党党首巡る判断見送り 10月に

ワールド

中国は戦時文書を「歪曲」、台湾に圧力と米国在台湾協

ビジネス

無秩序な価格競争抑制し旧式設備の秩序ある撤廃を、習
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中