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チップがレストランを駄目にする

What Happens When You Abolish Tipping

「心付けはウエーターをやる気にさせる」なんて嘘。チップがないほうが客もスタッフもハッピーになる

2013年9月13日(金)11時26分
ジェイ・ポーター(元レストランオーナー)

 今年7月まで、私はカリフォルニア州サンディエゴで8年間、「リンカリー」という名前の地産地消レストランを経営していた。その店でチップ制度を廃止したのは、開店2年目のこと。代わりに食事代に18%のサービス料をプラスして請求することにした。

 食事代の18%というと、リンカリーに来た客が置いていく平均的なチップの額よりもやや少ない。ではなぜそんな制度を導入したのかというと、「チップ」の分け前をウエーターだけでなく料理人ももらえるようにしたかったからだ。

 一般的なレストランでは、ウエーターと料理人の基本給はほぼ同じ。なのにチップは全部ウエーターがもらう。このためウエーターの手取りが料理人の3倍になることも少なくない。チップをサービス料に替えたことで、リンカリーではこうした「所得格差」をなくし、スタッフの結束を強めることができた。

 新しいシステムを導入すると、料理の質が良くなった。報酬が増えたから料理人が頑張ってくれたのだろう。すると客の入りも良くなり、2カ月ほどすると、ウエーターの手取りもチップ制のときより多くなった。

 サービスの質も向上した。だが私が見たところ、それはウエーターの報酬が増えたからではない。チップ制を廃止したことで、良質なサービスを提供しやすい環境ができたからだ。理由を説明しよう。

 レストラン業界の報酬システムには、基本的に2つの原則がある。第1に、給料の交渉はめったにしない。アルバイトは最初だけで、社員の場合は年に1〜2回が普通だ。第2に、スタッフに給料を払うのは雇用者であって消費者(客)ではない。

 これはレストラン以外の仕事にも当てはまるかなり確立されたやり方だ。その背景には、カネのことで気が散らないようにすれば仕事に集中できるはず、という考えがある。だとすれば、チップがいくらもらえるか考える必要がなければ、ウエーターも最高の仕事ができるはずだ。

不公平が多いチップ制

 チップ制を廃止したらウエーターはやる気を失うのではないか──アメリカではそんな反論がよく聞かれる。

 だが、これはばかげた疑問だ。チップがなくてもウエーターがいい仕事をしたいと思う理由はたくさんある。みんなクビになりたくないし、給料を上げてもらいたいし、プロと思われたいし、自分の仕事にプライドを持っている。そこにチップは何の関係もない。

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