最新記事

脅しつつも「対話」路線に走る理由

北朝鮮 変化の胎動

強まる経済制裁の包囲網
指導者の後継選びは最終局面に

2010.09.17

ニューストピックス

脅しつつも「対話」路線に走る理由

軍事演習の傍らで和平を目指す姿勢を示し、道徳的に優位に立とうとしている

2010年9月17日(金)12時09分

 北朝鮮は最近、好戦的な発言を繰り返している。7月の米韓合同軍事演習に対しては「報復的な聖なる戦争」も辞さないとの声明を発表した。3月の韓国哨戒艦沈没事件でアメリカと韓国から非難されて以来、こうした脅し文句を連発している。

 だがこうした強硬姿勢とは裏腹に、北朝鮮は対話を実現させようと必死になっているように見える。沈没事件の直後は、李明博(イ・ミョンバク)大統領が政権にいる間は決して韓国と交渉しないと北朝鮮は明言していた。その脅しも忘れてしまったらしい。威嚇を続けながらも、和平合意の締結と核兵器の放棄に向け「不断の努力をする」などと言っている。

 北朝鮮がこれほど態度を軟化させることは珍しい。なぜこのタイミングなのか。1つには、金正日(キム・ジョンイル)総書記が後継者選びのさなかに危機を望んでいないとの見方がある。一方、交渉のための策略だとみる向きもある。隣で軍事演習が行われているときに自国は平和を望んでいることを強調して、道徳的に優位に立とうとしているというわけだ。

 とはいえ、米韓両国は北朝鮮がきちんと行動を起こすまで交渉しても意味がないと主張している。8月には追加制裁と別の軍事演習が予定されている。金正日の甘い言葉は長続きしないかもしれない。

[2010年8月11日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

鉱工業生産速報3月は前月比3.8%増、自動車回復で

ビジネス

失業率3月は2.6%で横ばい、有効求人倍率1.28

ワールド

ガザ停戦・人質解放案に期待、最終的な回答待ち=エジ

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、米株高の流れ引き継ぐ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「瞬時に痛みが走った...」ヨガ中に猛毒ヘビに襲われ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中