コラム

ヤバすぎるケネディJr.とギャバードを、共和党議員が閣僚に選ばなければならなかった切実な理由

2025年02月14日(金)17時45分
ケネディ

上院公聴会に出席したロバート・ケネディJr.(1月30日) MICHAEL BROCHSTEINーSIPA USAーREUTERS

<いずれも元民主党員、「偽善者」ロバート・ケネディJr.と「ロシアのガールフレンド」タルシー・ギャバードが、まさかの閣僚入りを果たした驚きの事情とは>

アメリカの公共政策と世論の間の亀裂を広げている大きな要因の1つが、共和・民主両党の波乱含みの予備選だ。対立政党のライバルとの本選挙ではなく、党の代表を決める予備選での敗北によって失職することを恐れる上院議員の面々は、自分の良心どころか支持者の意見に沿った投票行動を議会で取ることもままならない。

政治家は権力の行使が仕事であり、権力を行使するためには選挙に勝ち続けるしかない。私は博士課程の修了時、共和党の大物上院議員だったリチャード・ルーガーと一緒に教壇に立ったことがある。英オックスフォード大学のローズ奨学生として留学した経験を持つルーガーは、上院きっての外交通と見なされていた。


そのルーガーが私と一緒に教えることになったのは、上院の議席を失ったからだ。それまで6回の本選挙で民主党候補に圧勝し続けたが、直近の共和党予備選でティーパーティー系の右派に20ポイント差で大敗した。

ルーガーのような大物が世論の主流から懸け離れた無名候補に負けるのであれば、誰も安心できない。議員たちが強い恐れを抱く背景には、予備選の投票率が極端に低いため、過激派の投票が不釣り合いに大きな意味を持つ実態がある。

トランプ大統領の閣僚候補指名後、私は繰り返し同じ質問を受けた。「どうしてアメリカ人はこんな人選に賛成できるのか」

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」

ワールド

米、インドネシアに19%関税 米国製品は無関税=ト

ビジネス

米6月CPI、前年比+2.7%に加速 FRBは9月

ビジネス

アップル、レアアース磁石購入でMPマテリアルズと契
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story