コラム

抗生物質がまったく効かない暗黒の未来が迫っている/Identify with(~と親近感を持つ)

2015年12月16日(水)19時38分

【今週のTED Talk動画】 What do we do when antibiotics don't work any more? - Maryn McKenna http://www.ted.com/talks/maryn_mckenna_what_do_we_do_when_antibiotics...

登壇者:マリーン・マッケーナ

 マリーン・マッケーナは、彼女の大叔父が仕事で怪我をし、そのときの感染が原因で亡くなったエピソードを紹介している。抗生物質が開発されるより前のことだ。その苦しい死について話すことによって、抗生物質の奇跡を強く印象づけている。抗生物質がなければ、我々は今のような生活を送れない。手術や帝王切開出産は不可能となり、連鎖球菌性咽頭炎や皮膚感染のようなマイナーな症状でも死を招く。

 しかし、抗生物質で懸念されるのは、耐性菌が増加しているという点である。現在、世界で年間70万人もの人が抗生物質の効かない感染症により死亡しており、この傾向が続けば、2050年にはその人数が1000万人にのぼるという。抗生物質が効かなくなってきた理由、そして、まったく効果がなくなる日の到来をどうやって遅らせるかの具体的な対策について、マッケーナ氏はこのTED Talkでわかりやすく説明している。彼女の話を聞くと、自分の習慣を変えようという気になり、政府や医学界、農業界の行動改善も望むようになるだろう。

キーフレーズ解説

Identify with...
~と親近感を持つ
(動画7:10より)

 誰か、あるいは何かとidentify withした場合、その対象との関係を強く感じ、「自分もそうだ」「自分だったらそうするだろう」もしくは「それは私の経験と似ている」といった感情を持ちます。マッケーナ氏は「抗生物質の効かない感染症で死亡する人が多いと聞いても、多くの人は危機感を覚えない」と指摘しています。なぜかというと、それが原因で亡くなる人というのは、病院の集中治療室に入院中であったり、老人ホームにいて死が間近な患者であることが多いため、自分自身と重なる部分が少なく、identify withできないからだそうです。

 典型的な使用例を紹介します:

●I particularly liked that book because I could identify with the heroine's struggles.
(ヒロインの困難に共感できたので、あの本は特に気に入りました)

●The rich politician didn't seem to be able to identify with ordinary people.
(裕福な政治家は一般人の立場を理解できなかったようだ)

●Many mothers could identify with the woman who protested against the war after her son was killed in battle.
(自分の息子が戦死した後に反戦活動を行っていた女性に、多くの母親が共感できた)

 似た意味の表現として、relate toがあります:

●I could really relate to that anecdote.
(私はそのエピソードには本当に共感できた)

●It's important to include examples that everyday people can relate to.
(一般の人に馴染みのある例を入れるのは大切です)

●Because I have been a victim of crime, I could relate to her fears about criminals.
(私も犯罪の被害者だったので、彼女の犯罪者に関する悩みは自分のことのように感じた)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

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