コラム

パックンが斬る、トランプ現象の行方【前編、人気の理由】

2016年03月10日(木)15時00分
パックンが斬る、トランプ現象の行方【前編、人気の理由】

常に「カツラ疑惑」が向けられる不自然すぎる髪型もトランプ人気の理由の一つ Brendan McDermid-REUTERS

 派翠克。 「パトリック」を中国語で書くとこうなるらしい。あまりピンとこないね。「鳩°陸」にしようかな。「ハーラン」は「波ー乱」でいっか・・・。

 なんで名前を漢字で書こうとしているかというと、初めて日本に帰化することを真剣に考えてるからだ。そのきっかけを作ってくれたのはもちろん、あのドナルド・トランプにほかならない。

 共和党の大統領候補を決める予備選挙や党員集会で次々と勝ち続け、最初は大穴だったトランプは今、大本命となっている。本選挙で勝つとは思わないが、万が一に備えて、とりあえず避難先を考えておかないとね。

 そう考えているのは僕だけではないらしい。カナダのケープ・ブレトン島が「トランプが大統領となるアメリカに住みたくないなら、どうぞこちらに移住を」という広告で移住者を募集したら、問い合わせが殺到。対応に困った島の観光当局は、電話受付の人数を5倍に増やしたらしい。それでも5人だけどね。

 でも、トランプ当選を悲観してアメリカ人がカナダに引っ越すぐらいだから相当な事態だ。

  トランプには政治経験がない。具体的な政策はない。共和党の有力者に支持されてもいない。彼を支持している主な政治家はプーチンぐらいだ。さらに、暴言三昧で、女性も外国も移民もアメリカの英雄さえも、けなしまくっている。

 しかも言動の矛盾が多い:
―低所得者の味方だというけど、本人はボンボン育ちの大富豪。
―やり手のビジネスマンだというけど、会社を4度破産させている。
―移民反対だというけど、母が移民であった。そして父方の祖父も移民。
―結婚した女性3人の中で2人が移民。

 こんな人物が2大政党の一つの候補になるのか?!どうやら、なりそうだ。ひぃぃぃ~~!

【参考記事】#ネバートランプ! 共和党主流派の遅過ぎた?逆襲

 ここでみんなの疑問に答えよう。そもそもトランプ人気の理由はなんだろうか。

「選挙区の改定」「国民の人種構造の変化」「メディアの両極化と視聴者の自己仕分け」といったファクターが考えられる。全部取り上げてもコラムのギャラは変わらないから、とりあえず大きな3つに絞ってみよう。

 その一:中流階級が持つ、賃金停滞や貧富の差に対する不満

 日本のメディアでもよく指摘されているが、経済が成長しているはずなのに、アメリカ人の平均実質賃金はこの40年上がっていない。さらに、資産が上位に集中している。人口の上位0.1%の超金持ちが、下位90%と同じぐらいの資産を持っている。簡単に言えば、一家族が1億3000万人もの人々の合計より多い資産を握っているということだ。 この数字は自称社会主義者のバーニー・サンダース候補がスピーチなどでよく述べている。資産の再分配を約束する彼だからこその発言。しかし、その厳しい経済状況への怒りは、サンダースの支持者のみならず、トランプ支持者の間にも走っている。トランプは上位0.0001%の人なのにね。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

ニュース速報

ビジネス

欧州銀ストレステスト、伊モンテ・パスキ最下位 資本

ワールド

クリントンが支持率でトランプを逆転、6ポイントリー

ワールド

7月のOPEC産油量が過去最高に、イラク・ナイジェ

ビジネス

米国株はまちまち、GDPに失望もハイテク株は買われ

MAGAZINE

特集:世界を虜にするポケモンGO

2016-8・ 2号(7/26発売)

世界中で始まったポケモンGOの大ブレイク──。屋外型「カワイイ」ゲームの騒動は社会に何をもたらすか

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム
  • ニュース速報
  1. 1

    サイコパスには犯罪者だけでなく成功者もいる

    サイコパスはすべてが殺人鬼ではない。なかには、…

  2. 2

    もし第3次世界大戦が起こったら

  3. 3

    ハーバードが絶賛する「日本」を私たちはまだ知らない

  4. 4

    沖ノ鳥島問題で露呈した日本と中国の共通点

    台湾の漁船拿捕をきっかけに「島か岩か」問題が再…

  5. 5

    ISIS処刑部隊「ビートルズ」最後の1人、特定される

  6. 6

    数学の「できない子」を強制的に生み出す日本の教育

  7. 7

    米軍は5年前、女性兵だけの特殊部隊をアフガンに投入していた

  8. 8

    日本軍と共謀した毛沢東を、中国人はどう受け止めたか?

  9. 9

    ISISはなぜトルコを狙うのか

  10. 10

    英EU離脱に憤る若者たち: でも実は若年層は投票しなかった世代

  1. 1

    レイプ写真を綿々とシェアするデジタル・ネイティブ世代の闇

    ここ最近、読んでいるだけで、腹の底から怒りと…

  2. 2

    共和党と民主党どこが違う

    米大統領選挙は共和党、民主党いずれも党大会を…

  3. 3

    嫌韓デモの現場で見た日本の底力

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月…

  4. 4

    英国EU離脱は、英国の終わり、欧州の衰退、世界の停滞をもたらす

    英国の国民投票は、EU離脱支持が残留支持を上回り…

  5. 5

    中国の「反日暴動」がアメリカでほとんど報道されない理由とは?

    先週末から今週はじめにかけて、中国の各地では…

  6. 6

    英国EU離脱。しかし、問題は、移民からロボティックスへ

    <世界一のグローバル都市へと成長し、移民が急増した…

  7. 7

    よみがえった「サウジがポケモンを禁止」報道

    <「ポケモンはハラーム」との記事が日本のニュースサ…

  8. 8

    スマホが人間をダメにする

    インターネット時代、スマートフォン時代になっ…

  9. 9

    英国のEU離脱は、日本の誰が考えているよりも重い

    英国のEU離脱は、日本の誰が考えているよりも重い…

  10. 10

    「ブレグジット後悔」論のまやかし

    <ブレグジットの国民投票以降、「EU離脱に投票…

  1. 1

    テスラ車死亡事故、自動運転中にDVD鑑賞の可能性

    米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モータ…

  2. 2

    バングラデシュで襲撃の武装集団鎮圧、外国人ら20人殺害

    バングラデシュの首都ダッカで1日夜、レストラ…

  3. 3

    バングラ事件、邦人7人含む20人死亡 安倍首相「痛恨の極み」 

    バングラデシュの首都ダッカで1日夜、レストラ…

  4. 4

    豪下院選は大接戦、結果判明5日以降に 「宙づり議会」の可能性

    2日に投票が行われた豪総選挙の下院選は、ター…

  5. 5

    バングラデシュ人質事件、日本人は1人救出 7人安否不明

    バングラデシュの首都ダッカのレストランで1日…

  6. 6

    バングラデシュ人質事件で日本人7人の死亡確認=菅官房長官

    菅義偉官房長官は2日午後11時半過ぎに会見し…

  7. 7

    クリントン氏優勢 トランプ氏と差は縮小=米大統領選調査

    ロイター/イプソスが実施した米大統領選の候補…

  8. 8

    邦人犠牲者は20代から80代の男女、菅官房長官「断固として非難」

    菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、日本人…

  9. 9

    日本の改正児童福祉法、施設暮らしの子ども救うか

    金属の柵で囲まれた小児用ベッドに寝かされた赤…

  10. 10

    イラク首都の爆弾攻撃で約120人死亡、ISISが犯行声明

    イラクの首都バグダッドで3日未明、2回の爆発…

 日本再発見 「世界で支持される日本式サービス」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
リクルート
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

0歳からの教育 育児編

絶賛発売中!

コラム

小幡 績

日銀は死んだ

パックン(パトリック・ハーラン)

芸人もツッコめない? 巧みすぎる安倍流選挙大作戦