最新記事
シリーズ日本再発見

単なる「スシ・ビール」を超えた...「賛否分かれる」アサヒスーパードライが「ビールの本場」で愛される理由

ATSUSHI KATSUKI

2025年06月25日(水)15時21分
コリン・ジョイス(在英ジャーナリスト)

アサヒが所有するフラーズのブルワリー(ロンドン)

アサヒが所有するフラーズのブルワリー(ロンドン) COURTESY OF ASAHI GROUP HOLDINGS

躍進の鍵となったのは、19年にロンドンを代表するブルワリーのフラーズ(Fullers)を買収したこと。

約400軒のパブを含む流通網へのアクセスと、幅広いビールのラインアップを手に入れた(このとき既に、オランダで人気のグロールシュ、チェコの偉大なラガーのピルスナー・ウルケル、ポーランドのティスキエ、ルーマニアのウルススなども傘下に収めていた)。


昨年はアメリカのブルワリー、オクトピ(Octopi)を買収。「私たちのグローバルな存在感をさらに高める上で、ミッシングピースがアメリカ市場だった」と、勝木は言う。

アサヒの野心を駆り立てているのは、ある懸念すべき現実だ。日本市場における強固な基盤は人口動態の変化に脅かされており、企業として成長と繁栄を続けるには新たな市場への進出が不可欠だ。

「海外を志向する主な要因の1つは日本の人口、とりわけ生産年齢人口の減少によって、将来の需要が厳しくなることだ」と、勝木は語る。「私たちのブランドや可能性を、日本だけにとどめておくのはもったいないと考えた」

アサヒは変化に反応するだけでなく、先駆者でもある。若者の飲みたいという欲求は変わらなくても、考え方や嗜好が前の世代とは違うことをいち早く認識し、動いてきた。

例えば、ノンアルコール飲料や大人向けソフトドリンクといったビール隣接カテゴリーの拡大だ。「健康志向や嗜好の多様化に合わせ、ノンアルコール飲料でも本物の味わいやプレミアムな体験を提供していく」と、勝木は言う。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

独ミュンヘン空港、ドローン目撃で一時閉鎖 17便欠

ワールド

お知らせ=重複記事を削除します

ビジネス

ムーディーズ、ニデックの格付けA3を格下げ方向で見

ビジネス

当面は米経済など点検、見通し実現していけば利上げ=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中