最新記事
シリーズ日本再発見

【動画完結】日本通外国人が激論!『はじめてのおつかい』評、日本の治安、子育て、内向きな若者たち

WHY WE LOVE LIVING IN JAPAN

2022年10月12日(水)11時25分
ニューズウィーク日本版編集部

■西村 日本の暮らしやすい点は、その利便性、サービスの良さです。初めて日本に来てバスで成田空港から東京まで行き、バス停で私の荷物を乗務員が丁寧に載せたり降ろしたりしてくれたときに気が付いた。とにかく日本では何でも便利。サービスは世界一と言っても過言ではない。

日本人には想像できないぐらい、パリのサービスは不便。バスや地下鉄は時間どおり来ないし、ストライキや故障など問題が多い。ただ、もしかしたら日本は便利すぎるのかも。だから困ったときに皆、どうしたらいいか分からなくなる。フランスではほとんどが困ったときなので、自分でいろいろな方法を考える。

■石野 私の好きな日本の言葉に「お互いさま」がある。私はサービスをします、そして同じようなサービスを受けますと、そういうサイクル、社会システムになっているところがいい。ほかの国にはなかなかない。

日本は平和で暮らしやすいのに「若者は内向き」

――偶然にもこの4人全員が日本人と結婚していて子供もいる。日本での子育てについてはどう思う?

■周 うちは子供が4人で、3歳の子もいるので、年を取って仕事ができなくなったらどうしようと心配しているんだけど、妻は「日本では公立の学校に入れれば、そんなにお金はかからないから大丈夫」と慰めてくれる。そういう点では安心して育てられるんだろうなと思う。

■西村 日本のほうがフランスより子育てはしやすいと思う。利便性と子育てはものすごいつながってるんですね。田舎はちょっと別ですが、東京かパリかと聞かれたら、私は東京で子育てをしたい。

パリでは外でベビーカーを押すだけでも苦労する。道のあちこちに石やゴミや犬のふんがあって、本当に汚い。エレベーターやエスカレーターが整備されている駅は4%にすぎない。パリの地下鉄に子供と一緒に乗ったとき、長男は「暗くて汚い。もう乗りたくない」と言っていた。

フランスは子育て支援が手厚く、日本はあまり......とよく言われるが、それは違うと思う。日本でも支援はある。例えば出産費用は基本は健康保険適用外だが一時金があり、一部の地域では上乗せもされる。問題は市区町村によって手厚さが違うこと。

■周 なのに出生率は上がらない。

■西村 なぜ子供をつくらないかは、まだまだ分析されていない。単純にお金の問題ではないと思う。マスコミはそればっかり言ってるんですけどね。例えば2000万円持っていないと子供をつくれないとか。

■石野 たぶん経済とかお金とか、そういう理由ではない。気持ちの余裕の問題だと思う。中学校まで医療費無料とか公立の学校はただで行けるとか、そういう点で日本は素晴らしい。でも働いているお父さん、お母さん、独身男性、独身女性に、もうちょっと気持ち的な余裕があったらいいなという気がする。

■周 若い日本人にはあまり夢がない。将来に希望を持っていないから今がよければいい、今の生活で精いっぱい。子育てする余裕はないんだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米政府、資源開発資金の申請簡素化 判断迅速化へ

ワールド

訂正-セビリアで国連会議開幕、開発推進を表明 トラ

ワールド

対米交渉「農業を犠牲にしない」=トランプ氏のコメ発

ワールド

カナダ、初のLNG輸出貨物を太平洋岸から出荷 アジ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中