日本軍の捕虜虐待を描きながら「反日映画」にされなかった『太陽の帝国』の不思議
反日映画とのレッテルを貼られて上映中止運動が起きた映画の系譜をたどると、『ナヌムの家』『南京1937』『靖国 YASUKUNI』『ザ・コーヴ』『南京!南京!』『不屈の男 アンブロークン』『狼をさがして』『主戦場』などがある。共通項は監督が日本人ではないこと。吐息が出るほど分かりやすい。
和歌山県太地町のイルカ漁を告発する『ザ・コーヴ』は例外だが、慰安婦問題や南京虐殺など基本的には日本の戦後史観をめぐる論争がテーマになった作品が多い。
でもどう考えても問題作で監督が日本人ではないのに、普通に上映された映画もある。スティーブン・スピルバーグの『太陽の帝国』とアレクサンドル・ソクーロフの『太陽』だ。
共通項はどちらも変な映画であること。ソクーロフがタイトルに込めた意味は明らかに天皇だ。J・G・バラードの自伝小説を原作にしたスピルバーグはどちらだろう。日出ずる国と重ねたのだろうか。
『不屈の男 アンブロークン』と同様に日本軍の捕虜虐待を描きながら反日映画にカテゴライズはされず上映中止運動も起きなかった『太陽の帝国』は、日本ではあまり話題にならなかったように記憶している。本国アメリカにおける興行成績も振るわなかったようだ。だってつかみどころがなさすぎるのだ。
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